女神の寵愛
ページを最後までめくり終えたら天国。
ページを最後までめくらなかったら地獄。
実はこういうことだ。
私は暴走した車による交通事故に会って、死んでしまった。
そこに自分を女神と呼ぶ存在が微笑みながら現れて、瞬間移動をして黄金で造られた裁判所らしいところに連れてきた。
疑いようが無い力を見せられたあとだから信じるしかない。
なので、女神様と呼ぶことにしよう。
女神様が言うには、此処で輪廻転生先を決定するらしい。
まぁ、何に転生してもしょうがないと思う。
私はそう心に構えていると、女神様は笑いながら本棚から一冊の本を取り出した。
何でも、この本に書かれているのは私の今までの行動であり、それによって審理をするらしい。
女神様は笑みを深めつつ、ページをめくり始めた。
私はその様子をただ見ていた。緊張で胸がドキドキしているのを感じながら。
しばらくしてページをめくる音が途絶えた。
どうやらめくり終えたらしい。
一息ついた女神様は、まぶたを閉じて眼の疲れを取り始めた。
数瞬してから、慈愛に満ちた笑みを浮かべて、審理の結果を伝えた。
何でも、来世では私が望むものに何でもなれるらしい。
しかし、一度望んだら死ぬまでの間ずっとそのままらしい。
人生は一度きりだから、それを考えれば仕方ない。
私はその場で少し考えた。来世でなりたいものを。
すると、ドラゴンがイメージできた。普通のドラゴンじゃなくて、古代竜であるエンシェントドラゴンがだ。
私はそのことを女神様に伝えると、微笑みながら頷いてくれた。
そして強く願うように言われた。エンシェントドラゴンになりたいという願いを。
心から強く願うことで転生することができるらしい。
私は強く願った。すると、私自身を覆い尽くすほどの白い光が現れて私を包み込んだ。
光のなかで私は悟った。この先にあるのは転生先の人生。
いや、エンシェントドラゴンになるのだから竜生だろう。
嗚呼、新しい人生が、竜生が楽しみだ……。
そして、私は意識を手放したーー。
「彼の善行は最良のものでした。
けれど、彼が願ったことをわたしがねじ曲げてしまうことはできません。
なので、ささやかな応援として、わたしの祝福を与えましょう。
嗚呼、願わくは、彼の来世を幸あるものとなりますようにーー」
《終》




