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奴への復讐

私は奴に復讐しなければならない。

私の平安を奪った奴に、正当な報復をだ。

奴に心の安寧を壊された者たちは大勢いる。

私とてその一人だ。だが、私よりさらに深刻な状態にされている妹がいる。

他ならぬ奴が妹の心の安寧を壊したのだ。

奴はそのことを認めようとはしないだろう。

だが、絶対に許してはやらない。これは復讐なのだから。

自分が壊してきた心の安寧が、完膚なきまでに自分に跳ね返ってくる未来を招いてやる。

そのための証拠は揃っている。溢れるほどにだ。

私は奴が使う公共機関の情報を掴んで、それを軸に行動した。

まず、奴の指定席を奴が乗る前にぎゅうぎゅう詰めになるよう仕向けた。

洗脳の技術を使ってだ。

毎日毎日、自分の指定席に乗れないストレス。

さらには、奴が使うエレベーターも利用者の数を増やした。

これも洗脳の技術を使った。足が不意に痛くなって、エレベーターを使わざるを得ないという洗脳だ。

二つとも、その場かぎりの影響となるよう調整したから問題は無い。

無関係な人々を利用する私の良心の呵責以外だけで済んでいる。

毎日毎日やってきた成果が現れた。

自分の思い通りにならなくなって、ストレスが爆発したようだ。

辺りの乗客に喚き散らしている。

彼らには訳が分からないように思えるだろう。

近くにいた乗客がいきなり暴れだしたのだから。

心が痛む。彼らを洗脳し利用していた良心の呵責ゆえに。

だが、奴への復讐を見届けなければならない。

奴が近くにいた乗客の一人に殴りかかった。

だが、その腕は阻まれる。

他の乗客の一人が振り上げた奴の腕を掴んだからだ。

さらには、別の一人が機関の職員を大声で叫んで呼びに行った。

奴が文句を喚き散らすが、誰も聞いていない。いや、聞く耳を持っていないように振る舞っている。

問題に巻き込まれたくないからだ。

少し時間がかかったが機関の職員が現場に到着した。

険しい口調で室内に連れて行くことを告げるが、奴は喚いて逃れようとしている。

だが、そうはさせない。

私は周りの乗客たちに――特に屈強な男性たちに――洗脳の技術を使うと、奴の逃げ道を塞いだ。

これで奴は逃げられない。逃げようとすれば乗客たちに攻撃しなければならなくなり、さらに印象が悪くなる。

それを悟ったのか分からないが、奴は大人しくなった。

奴の抵抗の諦めを判断した機関の職員は、奴を職員室へと連行していった。

多分、未遂とはいえ暴力沙汰を起こしたのだ。

警察が来て事情聴取をすることだろう。

私は洗脳の技術を解くとその場から去っていった。

奴への復讐に決着をつけれた。それでいい。

妹の仇は取れた。心の安寧の回復を待とう。

無関係な周りの乗客を復讐のために洗脳したことへの良心の呵責がある。

それは私が復讐を望んだことへの代償だ。

利用したことへの罪として、この罰を抱えていこう。

それが私にできる償いなのだから――。

《終》

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