殺し屋
雪が降り積もる灯台の天辺に、一人の殺し屋がいた。
冬の季節。極寒の夜を灯台がぼんやり照らしている。
幻想的な風景に、溶け込むように殺し屋がいた。
現実と幻想の狭間を思わせるのは、使い込まれた漆黒の銃器。
スコープを通して覗き見るのはターゲット。
許しがたい詐欺師の女。復讐のために。
私怨から狙っていたが、殺し屋のポリシーが無用な殺生に至らせなかった。
詐欺師の女を殺す依頼が舞い込むまでは。
しかし、その依頼が殺し屋の元に舞い込んだ。
だからこそ、ポリシーのストップが外された殺し屋は、銃器を取る。
愛用の使い込まれた漆黒の銃器で復讐を果たす。
仕事と私怨の狭間でせめぎ合いながらも。
現実と幻想の狭間で心臓を狙いながらも。
殺し屋は機械のような動作で構える。
そして、引き金を引いて弾丸を撃つ。
詐欺師の女の人生を奪い取る口付けを送る。
スコープ越しに確認したのは、詐欺師の女が路上で倒れる姿。
胸元から黒い血を流して、白い路上に花を咲かす。
歪な黒い血花を。
詐欺師の女の最期をスコープ越しに見ていた殺し屋は、淡々と片付ける。
愛用の仕事道具を仕舞い込み、灯台から姿を眩ます。
後は金を依頼人に請求するだけ。それでいい。
復讐を果たしたあとは、どうでもいい。
逮捕されようが自首しようが、成り行き任せだから。
請求した後は酒を呑もう。ウィスキーのロックで。
人を殺めた後には酒を呑まなければやっていけれないからーー。
《終》




