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未来を見つめて
遥か遠くにまで広がる蒼空を眺めて、吹き荒れる風に身を任せる。
彼方にある地平線に思いを寄せながら、ひたすらに馳せる。
彼女が産まれて来た世界は残酷だった。
けれども、彼女は手を伸ばし掴んだ。
強さの鍵に導かれて。
奪われた未来を取り戻すために、辛かった過去を乗り越えるために。
悪意に定められたレールを崩壊させた。
不可能と思われたことを覆した。
大変だったと思うだろう。
しかし、過ぎ去った現在では記憶の中にしかもうない。
風が吹く。吹き荒れる。砕かれた悪意が雲となり、混ざり込もうとする。
暗雲が侵食しようとする。しかし、それは叶わない。
鳥が翔る。白い鳥が一直線に。暗雲を切り裂いていく。
別の鳥が現れた。複数の鳥たちが縦横無尽に翔ていく。
暗雲は散々になり協力はできなくなった。
集団から組へ、組から個へ。切り離されていった。
悪意の暗雲は勇気の鳥たちが払った。強さの鍵という鳥たちが退けた。
鳥たちの一羽が彼女の方に停まる。彼女と共にいることを望むように。
彼女が産まれて来た世界は残酷だった。
しかし、その残酷は過ぎ去った。
だからこそ、彼女は歩んでいく。拓かれた未来の行路を。
強さの鍵と一緒に。勇気の鳥と一緒にーー。
《終》




