地球を愛した征服者
私は地球が好きだ。誰よりもその気持ちは負けていない。
しかし、人類は地球を愛していないものが多すぎる。
大半どころではない。一欠片の可能性が根強い。主に私の中でだが。
だからこそ私は、愛している地球を征服することにした。
無論、そのための計画もきちんとある。
人類の排除も考えた。しかし、そんなことをしたら、奴等は反抗して、大破壊をもたらす核爆弾を用いるだろう。
大破壊を被るということは、地球を重傷にさせることだ。
そんなこと許せるわけがない。それをもたらす要因となるなど許したくもない。
話が逸れたな。
私の計画というのは、脳内にマイクロチップを埋め込んで一つの洗脳をかけるというものだ。
どんな洗脳かって? そんなもの決まっているだろう。
「地球を愛しているべきだ」という洗脳だ。
つまり、私の思考にも似た想いを植え付けるだ。
そうすれば、地球を汚すことなど人々はしなくなる。
愛するということは慈しむということなのだから。
――私はマイクロチップを埋め込んだ手術を行なった。
しかし、私の計画は私自身すら制御できない事態を招いたのだ。
マイクロチップを埋め込んだ洗脳者たちが、皆自害を選ぶなんて思わなかった。
おそらく、地球を汚している自分自身が許せなくて、除き去るために自害を選んだのだろう。
ああ、なんということを私はしてしまったんだ。
こんなことは、私が殺したのも同然じゃないか。
仕方ない。愛する地球を生涯の友としたかったんだが、叶いそうにないな。
私は地球征服のために、マイクロチップを用いた人類洗脳計画に関するすべてと、洗脳者たちの集団自害に対する謝罪を綴った文章を書き終えた。
そして、もしものために作っておいた、自然の成分に由来する速効性の猛毒薬を口に含み、嚥下した。
つまり、服毒による自害をしたのだ。
死への激痛によって朦朧とする意識の中で。
私は、裂け目の奥底へと落下していく感覚に囚われた。
精神体となって、愛した地球の懐へと潜っていくのか。
それも良いかも知れない。
例えそこが、罪人を罰する地獄であったとしても――。
《終》




