かたくなな心の罠
とある民家に住んでいる女性に気をつけろ。
彼女は瞬足のごとくやって来て、あることないことを言い回すからだ。
夫婦ならば、さらに気をつけろ。
出産し一児のお母さんになった者を、彼女はターゲットにして、悪評をばら蒔くからだ。
子供をダシにした悪口を利用して彼女は相手を追い詰める。
無自覚に、さも自分が正しいという風に。
されど、彼女の意見に賛同する者はいない。
形だけの賛同はするが、実質は彼女へと反対している。
ある老人は、戯言分析を気ままに記すだろう。
『彼女がなぜ、一児の母に対して悪評をばら蒔くのか。
子を早く喪ってしまった悲しみならば、託児者として地域貢献ができるだろう。
しかし、虚構の賛同者がいる時点ではそれは違うだろう。
彼女は支配欲が強いのではないかな。本人は自覚していないようだが。
自分の意に逆らう態度を取る者に攻撃するのは嫉妬からだろう。
自分に無いものを持っているから。それが許さないから。
これを提供者と購入者に当てはめるなら、彼女はクレーマーであると言わざるを得ない。
なぜなら、クレーマーというのは他者を攻撃することでしか虚しさを晴らせない哀れな者だからだ』と。
第三者によってそう指摘された彼女は怒りを表すだろう。
しかし、その怒りの根本は、図星を射ぬかれてなお否定しようとする心理からだ。
それは彼女本人の最後の砦でしかない。
慢心に耽った心のだが。
彼女に臨むのは沈黙することだけ。指摘され認めることのできない心を持つ者たちに共通している心理。
ゆえに彼女は集団の孤立の中にいるのだ。
心を改めない限り続く孤立に蝕まれながら――。
《終》




