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忘却と追憶とカマキリ
大人になったら忘れてしまうことがある。
学生の頃に過ごした日々や今思えば笑いたくなる悩みとかだ。
あの時は真剣に悩んでいた。訳の分からないことをだ。
大人になった今でも訳の分からないままでいる。しかも、それでいいとすら思っている。
解決は忘却の彼方に流して、面倒臭い人生を過ごす。怠惰になりながら。
カマキリの研究なんか、物好きな研究者に任せればいいじゃないか。
世紀の発見には程遠くても、彼らは気にしないだろう。
細部の中のさらなる細部を知ったところで何になるのか。
文明の発展に役立てるだろうか。一見すると分からないが。
かといって、百見なんか面倒臭いにも程があるだろう。
だからこそ、どうでもいいと判断して、怠惰に過ごすのだ。余分な時間を無意味に浪費しながら。
大人に成りきれないニートは、そうして増えていく。世界に甘えなから。世界が終わる時まで――。
《終》




