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ストーカーの正体

私はストーカーに狙われていた。

普通のストーカーじゃない。いや、普通でもストーカー自体嫌だが。

足音がする。ストーカーの足音が。カシャカシャとした独特の足音が。

背後を見るな。見たら最後だ。本能が訴えている。

近づいてくる足音。時間が削られていく感覚。

それが恐怖を駆り立てる。

カシャカシャ。カタカタ。カシャカシャ。カタカタ。

音が増えた。笑っている。獲物を追い詰める狩人のように。

笑っている。嗤っている。骸骨の音を鳴らして。

私は逃げなければ。どこに。どこに逃げればいい。

扉は閉められている。無慈悲に音を響かせて。

ここは、そうだ。冥府だ。あの世だ。あの世なのだ。

私はストーカーに狙われていた。違う。私は逃亡しようとしたのだ。

現世に。記憶を保持したまま。叶わぬ夢を見ながら。

ストーカーは番人。あの世へと留まり、この世へと逆流する違法者を連れ戻す、冥府の裁判官。

カシャカシャ。カタカタ。カシャカシャ。カタカタ。

骸骨が笑っている。嗤っている。逃れられないことを悟った亡者に対して。

扉が彼方へと遠退いていく。遥か彼方に。無慈悲を踊らせて。

足がすくむ。歩けない。もう歩けないのだ。

無知な幸せ。悟った不幸。夢であるなら救いになる。

しかし、それはできない。前世の記憶を捨てなければならないから。

それが嫌だったから逃亡したのに、逃げ切れなかった。骸骨から。冥府の裁判官から。

肩に食い込むような激痛が迸る。ズタズタにしてやると主張するかのような激痛が。

私は捕まったのだ。逃げ場のない袋小路のネズミである私は。

鬼である骸骨に。何人をも逃がさない無慈悲な番人に。

捨てたくない思いを捨てるまで許さないなんて。

冥府というのは嫌なところだ。

しかし、骸骨が何を思っているのかは知らないが、私の思いは決して捨てることのできないものだと知らしめてやる。

最後に勝利するのは私だ。そう確信を抱きながら、骸骨に引き摺られながらも、反抗の決意を私は燃やしていた――。


《終》

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