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テロリストの襲撃

それは学校での出来事だった。

午前のつまらない授業中に、突然テロリストたちが日本のとある高校を襲ったのだ。

大半の生徒や教師たちは、どこかの国での出来事でしかなかった。

テレビを通しての観客でしかなかったのだから。

しかし、今は違う。目の前で生じた現実なのだ。

そして、それを肌で感じさせられている。抗うことのできない事実であるのだと。

銃を突きつけられてしまえば、無理もないことだろう。


テロリストたちの目的はただ一つ。

某国の大金持ちが密かに亡命させた末娘を人質に取ることだ。

資産を引き換えにして、自分たちの武力を強化するために。

あわよくば、人質にした末娘を含めた女生徒たちを、欲望の捌け口にするためもある。


しかし、平安を奪われた者の復讐をテロリストたちは考えていなかった。

いや、考えていたのだろう。しかし、足りなかった。油断していた。見誤っていたのだ。

高校の奥底で眠っている化け物の存在を。代々の学長が契約していた存在を。

何よりも平安を望み、破る者には相応の報いを与える、異端の悪魔と呼ばれる存在を。


テロリストに襲われ、なすすべもなく無力と成り果てた教師たちは、年若い聡明な女学長の決断を待っていた。

それしかできなかったからだ。

テロリストたちの要求を呑むか、それとも拒むか。

どちらになるのか、と腹を括って待っていた。

学長は熟考の末に決断を下した。

どちらでもない、第三の選択肢。

すなわち、契約した悪魔によってテロリストたちを撃退することを。

自らの純潔を散らすことになろうともだ。


彼女は呼んだ。契約した悪魔を。

悪魔は笑いながら察した。平安を破った者たちの存在を。


テロリストたちは気付けなかった。自分たちが有利から落とされたことを。

禍々しい気配を感じた時にはもう遅い。悲鳴さえ許されることなく息絶えたのだ。

一人一人倒れていくテロリストたち。教師や生徒たちは不可思議に思えた。

恐怖に支配されているのは変わらない。だが、テロリストたちの冷たい恐怖ではない。

不思議と温かい恐怖が、心に満ちてきたのだ。

気づかないことは幸せなことかも知れない。不自然であったとしても。


テロリストたちの数は少なくなった。悪魔の腕に抱かれたから。

気づいた時にはリーダー各のみ。

彼は気付けれただろうか。悪魔の存在に。

いや、気付くことになる。悪魔の怒りによって。


倒れゆく部下の死体。感慨などはない。

しかし、音もなく近付き殺めたことは事実。

本能の恐怖が駆け巡る。奴は危険だと。

心を押し潰して銃を構える。

非常識な存在である悪魔を殺すために。

勢いに任せて発砲する。迷っていたらなすすべもなく殺されてしまっていたから。

しかし、単なる銃ごときで死ぬ悪魔など、弱小の弱小の弱小なる存在だ。

リーダー各の前にいる悪魔は、それなりにだが高位の悪魔だ。中位にほど近い力しか持っていないが。

されど、そんなことはリーダー各には分からない。

弱小なる悪魔の弱小しか倒せない程度の実力では、察することもかなわないが。

悪魔は放たれた銃弾を魔力の波動のみで弾き返すと、悠然とした歩みでテロリストのリーダー各に近づく。嗤いながら。

平安を破った首謀者を葬るために。

そして、自分の死を受け入れたのかいなかは分からないが、呆然とした状態でテロリストのリーダー各は間際に断末魔を響かせて死んだ。


契約した悪魔の報告を感覚を通して聞いた学長は、自然を装いつつリーダー各のもとに向かった。教師たちを率いながら。

彼女が目にしたのは、恐怖に引きつきながら死んだテロリストのリーダー各の死体。

それに動揺しながら、事件の終わりを察した教師たちは行動する。

恐怖に囚われていた生徒たちに、助け出されたことを教えるために。


テロリスト襲撃事件から一週間後。世間からの報道に呑まれながらも、休校状態を解除した。

ようやく取り戻した平安を生徒たちは享受しながら生活している。


その間、年若い聡明な女学長は悪魔の元へ行き、代償として純潔を散らされた。

彼女にとって純潔を散らすのは、テロリストか悪魔か、どちらかでしかなく。

悪魔との契約ゆえに、純潔を散らされたかったのは悪魔だけだったから――。


《終》


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