死の決意
今はどんな時かと言われたなら、こう答えるだろう。
街中でのリアルバイオハザード中だと。
そうでなければ、この死体の群れは何なのか。
人だけじゃない。カラスなどの鳥、犬や猫などの陸上動物までもが、ゾンビとなって襲いかかって来る。
奴らに噛みつかれたら、奴らの仲間にされてしまう。
フィクションではない。ノンフィクションだ。
救いはあるのか。見当たらない救いなど無いに等しい。
絶望が心中に満たされていく。助からないという絶望が。
明日も明後日もあるはずだった。その先も、そのずっと先も。
しかし、それがもうない。失って初めて気づかされた。
最悪の音が無慈悲に響き渡った。壊されたのだ。バリケードが。
絶望が囁いた。このままでは助からない。ならば、奴らの餌食となれ、と。
そうだ。そうするしか、この状況は抜け出せない。
希望などすでにない。なら、奴らに殺されるのが希望だ。
死がマイナスではない。もはや死がプラスなのだ。
耐えきれぬ絶望から救い出されるには、死ぬしかないのだから。
――突然のバイオハザードで、ある区域内での生存者はいなかった。
他の区域にはわずかながらいたのだが、ある区域では欠片も生き残らなかった。
諦めなければ、わずかでも生き残る可能性はあったというのに。
この結果を元にするならば、生き残る勇気と強い意志があるならば、生き残る可能性は生じるだろう。
しかし、諦めてしまうなら、生き残る可能性の扉は閉ざされてしまうことになる。
されど、バイオハザードの状況下に立たされたなら、生き残れるかは分からない。
実証されていないなら、証しは無い
証しは無くて学とならないからである。
実証こそ、人類になくてはならないものだから――。
《終》




