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師匠と文化祭
師匠が文化祭に来てくれた。
普段、素っ気ない師匠が珍しく来てくれた。
楽しんでもらいたい。喜んでもらいたい。
そんな気持ちだった。
けど、師匠が来る直前、会場の近くで事故があった。
トレーラーが壁に衝突する交通事故がだ。
事故現場に野次馬たちが殺到する。
かくいう自分もその一人――になるはずだった。
野次馬たちの人波を縫うようにして、師匠が来たのだから。
しかも、人波は師匠の逆流には気づいていないみたい。
この点は、さすが師匠だと思う。忍者を極めていた人だから。
師匠が文化祭に来てくれたから、トレーラーの事故なんかどうでもよくなった。
さぁ、師匠に文化祭を楽しんでもらおう。
そう思っていたのに、事故の影響で文化祭は延期になってしまった。
でも、少しとはいえ師匠と一緒の時間が過ごせたから、それだけは良かった。
師匠は、延期になった文化祭にも来てくれるだろうか。
不安はある。けれど、信じよう。
師匠は素っ気ないけど、気遣いを示せる人だから――。
《終》




