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記憶

彼が突然豹変したきっかけは分からない。

あたしがいくら考えても分からなかった。

彼からの告白を断った時からだろうか。

自分の容姿に自信を持っていたから、断られたショックなのかもしれない。

でも、そんな理由で人が豹変する理由になるのだろうか?

やはり、あたしには分からない。

でも、一つだけ分かることがある。

それは、豹変した彼があたしを襲おうとしていることだ。

生命の危機的な意味で。あと、あたしの身体も襲う理由にもなるだろう。

それ以外の理由を考える時間は無い。

というか、襲われる寸前でよく考えられるものだ。

今のあたしは蛇に睨まれた蛙。襲われ食べられるままの餌。

助けの手は期待できない。悲鳴すらもあげる余裕なんてなかったから。

そしてあたしは、彼に身体を貪られたあと、絞め殺されて死んだのだ。


生前のそんな出来事を不意に思い出したあたしは、すぐに忘れようと考えを振り払う。

今のあたしは、転生するために記憶の浄化をしている最中なのだから。

こんな記憶を引き継いで産まれてくるなら、まっさらな状態で産まれたほうが計り知れないぐらい良いのだ。

そして、あたしは願う。次の転生では天寿を全うして亡くなりたいことを――。

《終》


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