ラーメン屋で
これは普通のラーメン屋での会話である。
「このラーメン旨いよな」
「そうそう。特に味が旨い!」
「だよな! でも、何回かスープ飲んでんだけど、何の味なのか分からないんだよな」
「隠し味を使っているのは分かるんだけど、何の隠し味かが、未だに分からないんだ」
「思いつく隠し味には当てはまらないし、単品の隠し味なのかも分からないんだよなぁ……」
「麺は普通の細麺だし、具材も普通のラーメンなのにな」
「こんな普通のラーメンなのに、普通以上に旨いラーメンだから不思議だ」
「ああ! 全然、隠し味が分からん! 味の秘密を知りたい!」
「叫びたい気持ちはすごい分かる。もう、大将に聞くしかないな!」
「だな! 大将すいません。このラーメンなんですけど、何か味の秘密とかあります?」
「味の秘密かい? そんなもの無いよ」
「「え?」」
「お客さんたち、さっきから隠し味とか言ってて推理していたみたいだけど。ごめんね、隠し味は無いんだ」
「じゃ、じゃあ、このラーメンが普通以上に旨い理由は……?」
「単純に俺の腕が上手いだけじゃないの?
スープも麺も具材も普通のしか使ってないし」
「「そんなぁ~!」」
「でも、こんなに味の良さを誉めてくれてありがとね。お礼に煮卵サービスするよ」
「「大将、ありがとうございます!」」
その後、この二人が煮卵のあまりの旨さに叫んだのは言うまでのことはないだろう。
《終》




