恋人と風呂に入ろうとしました。ー2
鼻血の時は額に冷却シート、というのが俺と恋人様の習慣であったりする。
鼻血の対応って、よくテレビとかでもやってるけど、どれが正しいのかって未だにわかんねえ。まぁ大体は放っておけばその内止まるから、額冷やして止まるのを待っている。
「悪い、ちょっと心が乱れたわ。……え、だって仕方ねえだろ」
裸の恋人に触る、これに興奮しないとかあり得ねえだろ。慣れ?そんなもんあるかよ。寧ろする度に欲望は増してくんだぞ。
「冷却シート……あ、やべえキレてる。仕方ねえ、タオル濡らすか……」
習慣となっている冷却シートは、残念なことになくなっていた。仕方ねえから濡れタオルで代用する。
ちなみに、何でそんな習慣ができたのかって言うと、当然恋人様に関係する。
恋人様は、疲れが溜まると鼻血が出る。本人曰くそういうもの、らしい。俺はよくわかんねえけど、とりあえず病気の類ではないらしい。
……初めてこいつが鼻血を出したとき、慣れた様子のこいつの横でめちゃめちゃパニックになった。だって本読んでたらいきなり「あ、血」とか言い出したんだぜ?肝どころか全身が冷えたわ。
で、恋人様曰く、逆上せたようなものだから額に冷却シートを貼ると落ち着く……ような気がするらしい。実際のところは知らねえけど。二人とも医者じゃねえし。
「……あ」
タオルを濡らしながら気がついた。
きつく絞ったタオルで、そっと拭えば恋人様もきれいになるんじゃねえか?いや、まぁ恋人様はいついかなる時も綺麗だけど。汚いところなんてないけど。
「そっか、そうするか。よし」
善は急げ、と俺は早速新しいタオルを出して湯を沸かす。……何か、熱湯だと泡の体によくねえ気がする。ぬるま湯でいいかな。
「なぁ、タオルで拭うけど大丈夫か?……ああ、うん。わかってる。優しくするから」
何だよ優しくするからって今から何するんだよ何が始まるんだよ寧ろナニ……。
……あ、やべえ鼻血が。
「あー、うん。悪い」
頭を冷やして、タオルとぬるま湯を準備しよう。