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最終話 日常を暮らそう

 俺が魔動歩兵(ホムンクルス)として転生して、一年が経った。

 基本的にミリィの手伝いの日々だったが、思えば色々あったなぁ…。

 隔離実験室破壊したり、旅から帰ってきたら妹が出来ていたり、誘拐犯とっ捕まえたり、ドラゴン喰ったり、戦争行ったり、皇帝に気に入られたり。

 …なんかほんと色々あったな。


<<訂正。他にもエピソードあり。>>


 いやまぁそうだが、いいじゃないか。

 誘拐事件の時に助けたサリアスが結成した、シルトガル・ジュニア自警団(自称)の騒動の数々は思い出したくないし。…というか、市場の人たちに俺が悪ガキ総大将って認識されているのが凄く理不尽なんだが。確かに子供達に慕われるのは問題はないが、やらかしたことの後始末は勘弁して欲しいわ。

 それにしても、今後はもうすこし穏やかな…それこそ、物語のネタにもならない日常を送りたいものだ。


<<警告。フラグが立つ予兆を確認。>>


 ちょっ!?

 やめて!不安になるようなこと、言うのやめてっ!


 * * *


 朝の日差しを受け、俺は目を覚ました。

 窓のカーテンを開けて、空を見上げれば青空が広がっていた。

 今日も平和で過ごせそうだ。そんな感想を持ちながら、俺は支度を整えると自室を出た。


「兄様。おはようございます。」

「おはよう、ホムホム。」

 厨房に行くと、既に起きていたホムホムがミリィの朝食の準備をしていた。俺は手伝うため、前日に用意していた丸めたパン生地をオーブンに入れた。これが焼きあがる頃、ミリィを起こしにいかないとな。


 そして朝食。

 食堂で皆で食事をとる。とはいっても主に食べるのはミリィで、俺とホムホムは水だけ…だったのだが、ミリィが自分だけ食べるのは精神衛生上良くないと言い出したので、俺もホムホムも少量食べるようにしたのだ。

「このパン、いつもと味が違うな。」

「そうね。甘味が強いけど、私好みだわ。」

 俺とミリィがそういうと、ホムホムは嬉しそうに答えた。

「ありがとうございます。実はパン生地に果実酒を混ぜてみたんです。」

 それから料理にどういう一手間を加えたか、嬉しそうに話してくれた。その後楽しく朝食を済ませると、ミリィは再び寝室へと戻っていった。昨夜…というか今朝方まで作業をしていて、ほとんど寝ていないとのこと。なので今日はこのあと眠る予定なのだそうだ。

 ホムホムは家事のため厨房に戻り、俺は地下工房の掃除に向かった。


 昼前。

 寝ているミリィが起きてもいいように、メモと簡単な昼食を用意した後、俺とホムホムは王都の市場へと向かった。買い出しとマダラ師への使いのためだ。

 検問所を抜け、ホムホムは市場へ。俺はマダラ師の工房へと向かった。

「あぁ、クルスさん。いらっしゃい。」

「トクマさん、こんにちわ。マダラ師宛ての書類です。」

 トクマさんに書類を渡す。これは返事が必要ない物なので、お使いは終わりだ。あとはホムホムと合流して買い出しだ。

 そう思い立ち去ろうとすると、トクマさんに呼び止められた。

「あ、そうそう。夕方ごろに師匠と行くから、よろしくね。」

 そういえば、ホムホムが自分の料理をマダラ師たちにも食べてもらいたいと、ミリィにお願いしていた事を思い出した。

 それが今日というのは初めて聞いたが。

「わかりました。ホムホムが楽しみにしていますよ。」

「うん、僕も楽しみにしてる。それではまた後でね。」

 俺はトクマさんに別れを告げ、市場へと向かった。


 市場の入口にある広場に付くと、ホムホムは見覚えのある子供たちに囲まれていた。

「あ、兄様。」

「クルにーちゃんだ!」

 俺に気付いたホムホムと子供たちは駆け寄ってきた。

「キャスリン。ユーシャ。カラシャ。タニア。みんな久しぶり。元気にしてたか?」

『うん!』

 一人一人、頭を撫でながら聞くと、みんな元気に答えてくれた。誘拐された事で一時期、外に出ることを恐れていたが、サリアス達男の子の自衛の努力が実り、外で遊ぶようになったようだ。

 …思い出したくないが、自衛の努力がかなりのトラブルを起こし、俺が後始末したという顛末があったわけだが…。


「兄貴!」「クルにー!」

 少し離れた場所にいたのか、サリアスとトォムも駆け寄ってきた。その後ろから三人ほどサリアスと同い年くらいの少年たちも付いてきた。シルトガル・ジュニア自警団(自称)の面々だ。五人とも皆、木剣を手にしている。

「兄貴!稽古つけてくれよ。」

『お願いします!』

 サリアスを筆頭に、皆が俺に頭を下げる。…さて、どうしたものか?

 ホムホムを見ると、そちらも困ったようにほほ笑んでいた。

「ホムホム。買い出し頼めるか?」

「はい。大丈夫です。」

「じゃあ、女の子たち。ホムホムのお手伝いをお願いできるかな?」

 俺がお願いすると、女の子たちは嬉しそうに頷いた。

 さてと、俺はサリアス達と剣の稽古という遊びに付き合うか。

 そして俺は子供達を連れ、広場の人の邪魔にならない場所に移動した。


「はぁ…はぁ…兄貴つぇ…。」

「うん…はぁ…全く届かないよ…。」

 俺の前には、全力を出し切った男の子たちが仰向けに倒れていた。

「俺だってまだ修行中だよ。それにまだこれは遊びの打ち合いだ。本気の打ち合いはもっと激しいぞ?ねぇ、マンハト先生?」

 広場の隅で打ち合いをやっていた俺達…正しくは、子供達の打ち込みを俺は受けていただけなんだが、それを眺めていた大人たちの中に訓練教官のマンハトが居るのに気付いていたので、俺は声を掛けた。

「なんだ、気付いていたのか。」

「当たり前です。」

 どうやら今日は休暇中だったらしく、私服姿で俺達に近づいてきた。

「この子達は、例の事件で知り合った子達です。それでこちらは俺の剣の師匠、マンハト先生だ。」

 マンハトと子供達にそれぞれ紹介した。正しくが武術訓練の教官なのだが、子供達は俺の師匠と聞いてマンハトを尊敬の眼差しで見ている。その視線に照れたのかマンハトは顔を赤らめながら子供達に挨拶した。

「君達の打ち込みは中々見所があったぞ。将来有望だ。」

 マンハトの言葉にサリアス達は顔を見合わせて喜んだ。将来的に自称自警団の経験から、軍や警邏組織に入隊すれば彼の教えを受ける事になるだろう。


 しばらくして、ホムホムが女の子たちと買い物袋を抱えながら戻ってきた。

「兄様。お待たせしました。」

「お疲れ。随分買ってきたな。」

「ええ。この子たちが手伝ってくれたので、色々見つかりました。」

 ホムホムが女の子たちを見ると、彼女たちも嬉しそうに頷いてた。

「そうか。ありがとうな。」

 視線を合わせ、一人づつ頭を撫でてやると、女の子たちはみんな真っ赤になって恥らった。なんか可愛いいな。

 そして俺とホムホムは子供達とマンハトに別れを告げると、買い込んだ荷物を抱えて館へと向かった。


 館へ帰ると、ミリィが食堂で紅茶を飲んでいた。

「おかえりなさい。思いのほか遅かったわね。」

「ただいま。ちょっと子供達の相手をしてたからな。」

「あなた、子供達のヒーローだものね。」

「街のガキ大将程度ならいいさ。救国の英雄とは絶対呼ばれたくないし。」

「ふふふ。そうね。」

 終戦時の騒動で付けられそうになった称号を否定して、俺とホムホムは荷物を片づけ始めた。


 夕方、マダラ師とトクマさんの二人が館にやってきていた。

 二人一緒に来たことにホムホムが喜び、俺と二人で夕食の準備を始めた。

「兄様やミリアエル様がおいしいって言って下さる私の料理を、マダラ様やトクマ様に食べて頂くの、すごく楽しみにしてたんです。」

「そうか。それじゃあ腕によりを掛けなきゃな。」

「はい!」

 そうして、俺はホムホムのアシスタントとして料理の手伝いをした。


 食堂に料理がならび、俺とホムホムが給仕係となる。…が、マダラ師は話があるからと一緒に食べるように言ってきた。困ってミリィやホムホムを見ると、二人ともそうするように促したので、俺は席についた。

 食事は滞りなく進んだ。料理は二人に大変気に入られ、ホムホムもとても喜んでいた。そして食後のお茶を皆で飲んでいる時に、マダラ師は俺に行った。


「クルスくん。君は学園で学ぶ気はないかな?」


 …えーと…学園編の始まりですか?

 ということは…平穏な生活が遠のくの?


<<報告。フラグを確認。>>


 だからやめろっ!



 こうして俺の日常は続いていく。


 今回で終了です。

 学園編は、この手の作品にありがちなネタをネタにしただけですので、実際にはやりません。


 色々反省点や自分の特性も見えてきましたし、そのあたりは活動報告の方にまとめて記しますが、いずれコメディ特化でないR15指定バージョンでリベンジしたいと思います。


 拙い作品でしたが、読んでいただきありがとうございました。


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