2.
「アオネリア様も貴族なのですから、政略結婚なんて覚悟していたのではないのですか。」
現実逃避を許さないのね、シェリー。私が現実だと認めるまでこの30分、リオン様と結婚と何十回聞いたことか。本当の夢でも出てきそうになるから、もう現実だと認めたわ。夢の中までこんな現実に振り回されたくはないものね。
「アオネリア様また現実逃…」
「してないわ。え~っと政略結婚の覚悟だったわよね。もちろん覚悟はしてたわ。私も今年で20才。もう友人達は大半が結婚したわ。社交会では壁の花も定着してきたのよ。恋人も出来ないし、いかず後家だって何度未来予想したか。自分で恋人を作れないなら、政略結婚にかけるしかないじゃない。でも、相手が姉の恋人とってどうなのよ。しかも今朝お父様に話を聞いて、今日もう嫁ぐってどういうことよ。」
だんだんと興奮してきて、最後の方は立ち上がろうとして、頭を馬車の天井にぶつけてしまったわ。痛い。そうよ、私の結婚相手のリオン様と姉のアイリスはお似合いよ。夜会で何度もダンスしてる姿を見たわ。私は壁の花でそんな姿を見てきたんだもの。リオン様は優しいから気を使って何度か姉の後に私とも踊ってくれたわね。姉の恋人と踊るのはちょっと虚しかったわよね。私が過去を思い出してたら、シェリーはため息ついてこっちを見てた。
「アオネリア様、突っ込みどころ満載で私も何から突っ込んでいいのか、わからないですわ」
侍女なんだし、もっと私に親身になってもらってもいいわよね。シェリーったら私が欲しいのは突っ込みではなくて、親身な言葉よ。