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お世話好きの植物入門

作者: ショーキチ
掲載日:2026/01/04

 なんとなく、何かを育てたいと思った。

 だがしかし、自分のことすら満足に管理ができないのに、他の命を養うなど、僕なんかには到底できることではない。日々仕事に追われ、家に帰れば疲れて何をする気力もわかない。酷い時には夕食も取らず、風呂にも入らずベッドへ直行……なんてこともあるのだから。


 この時点で、犬や猫などの一番に思いつくようなペットは無理だ。今はまだ、命に対する責任が持てない。

 それが僕の僕に対する評価である。


 であれば、昆虫や爬虫類はどうであろうか。

 ……怒らずに聞いてほしいが、僕は別に犬猫に比べて価値が低い、なんてことは微塵も思っていない。そこは誤解しないでいただきたい。

 今の子供は分からないが、少なくとも僕は、小学生の頃に虫やカエルなんかをつかまえて家で飼う、という経験をしている。子供のやることなので、結局一年と育てることができなかったのは言うまでもないが、それでも犬猫に比べれば『経験』があるのである。

 その経験が、ハードルを下げているのである。比較的ではあるが。


 でもやはり、はじめに考えたように今の僕には無理だと判断した。

 まず、難易度の違いはあれど、そもそも外の環境に合わせて生きている生き物を家で飼う、というのは様々な困難があるためである。

温度や湿度の管理はもちろん、食事や排泄等、どうしても犬猫より難易度が高いと思わざるを得ないのだ。それは僕の知識の浅さがそうさせているのだと思うが、それでもやはり難しいものは難しい。


 ……いずれは飼いたいのだが。すごく。僕は昆虫はそうでもないが、爬虫類は好きなのだ。というか大好きである。暇さえあれば、動画サイトで人の飼っている爬虫類たちを見漁っている程度には。まだ飼う予定もないのに、飼い方を調べるくらいには。

 最近、親戚がアルビノのトカゲを飼い始めたらしく、母を通して写真が送られてきた。ものすごく可愛かった。その子が環境に慣れてきたら、ぜひ会いに行きたいものである。


 閑話休題。


 ともかく、ペットを飼いたい気持ちは十二分にあるのだが、如何せん僕の能力と余裕が圧倒的に足りない。

 なので、この二案にかんしては見送ることにした。


 次に、植物だ。

 こちらはどうだろうか。

 情けない話だが、ベランダまで世話に出る気力が毎日あるかと聞かれたら、答えに詰まる。

 室内で育てるのであれば気温と日光は考える必要があるが、そこは日影にも耐えられる耐陰性の植物であれば問題ないだろう。

 土にかんしては詳しくないが、最近は観葉植物用に配合された土が売っているらしい。それを使えば、初心者でも失敗はしにくいと思う。

 肥料にかんしても同様だ。観葉植物用の肥料を使えば安心できる。三大要素がどうのとか微量要素がどうのとかいうのを調べているうちに目にしたが、まぁ何とかなるだろう。何とかなるはずだ。


 そう。僕には、それらが曖昧でもなんとかなるという自信があった。

 理由は、先の昆虫・爬虫類で話したように、経験があるからだ。

 夏休みの朝顔、と言えば、大体の人は首肯してくれるだろう。もしくはトマトか。

 これは大きなアドバンテージである。虫を育てるよりか遥かに多い知識が、僕を含め多くの日本人には備わっているのだ。義務教育、ありがとう。

 かなりおおざっぱで、かつたまにお世話をさぼることもあった小学生の僕でも、朝顔の花を咲かせることができた。小学生の僕にできて、大人になった僕にできないことなんてあるわけがないのだ。


 ということで、知識や経験に関しては問題ないだろう。

 次に、費用である。これは言わずもがな、ペットを飼うよりもはるかに安い。

 最低限必要なものは、植物、鉢、土、肥料。これだけなのだ。しかも、ひとつひとつがペット用品よりもずっと安い。

 これなら、僕の稼ぎでも余裕で出すことができる。


 そして最後に、僕にとって一番のハードルだった、命への責任である。

 ……もう一度誤解のないように言っておくが、決して植物を下に見ているわけではない。ただ事実として、先に挙げたペットと比べて扱いやすいというだけだ。

 それもそうだろう。植物はそれらの生き物と違い、繁殖が簡単なのだ。

 朝顔のように、種を取ることはもちろん、クローンをつくることだってできる。

 なんと素晴らしいことだろうか。植物、すごい。


 これらの理由から、僕は植物のお世話を始めることにした。

 それからの行動は早い。一番近くのホームセンターに行き、鉢、土、肥料を購入。

 そして念願の植物も購入した!

 手のひらサイズのミニ観葉植物として売られていた、熱帯植物の一種である。言葉通り、熱帯原産……もっと言えば熱帯雨林なんかの高温多湿な地域に生息する植物である。

 熱帯雨林といえば、どういうイメージが湧くだろうか。大体の人は鬱蒼とした森を思い浮かべると思う。

 鬱蒼としているということはつまり、日光が下まで届かないということだ。そういったところで成長する植物は、耐陰性……つまり、太陽の光が少なくとも十分に成長することができるという特性を持っているのである。

 先に述べたとおり、僕の理想は部屋の中でも育つ植物……そんな僕に、熱帯雨林原産の植物は好都合なのだ!


 ……というのは後付けの理由である。可愛いと思って買った植物が、偶然そんな植物だったのだ。

 だってそうだろう!好きなものでなければお世話をする気力がなくなるかもしれない!好きなものであれば難易度が高くても頑張ろうと思える!当たり前のことだ。それに偶然、好都合がくっついて来たのだ。運も実力のうち、というのであれば、これは僕の勝ちともいえる!

 ……何を言っているのか分からなくなってきた。


 とにかく、僕は当初の目的を達成した。晴れやかな気分というのはこういうものだろう。

 なんといっても、可愛い。それもすごく!売り場の中で僕が一番可愛いと感じたものを買ってきたのだから当たり前かに思えるが、やはり『自分のもの』というのは格別である。


 僕と同じように、何か世話をしてみたいけど生き物はちょっと……という方にはすごくおすすめできる。枯らしたとしても、そもそもが安いものだし大きなショックも受けないだろう。できるかぎり枯らしたくはないが。



 それでは、これから水やりをしなければならないので、僕はこのあたりで失礼しよう。

 オチ?そんなものは無い。これはお世話が好きなだけの、平凡な男の話なのだから。

 小説を書く練習がしたかったので、とりあえず書きやすい題材から書こう!と執筆に至りました。

 どんな活動も、まずは小さな経験を積み重ねること……これが一番大切だと思いますので。

 そういった理由もあり、私の経験をもとに書きました。が、主人公は私ではありません。架空の人物を動かすけど、起きたことは事実。みたいなものが無難に書きやすそうだな、と。

 ここでも書いたように、何かを始める時は、ハードルなんて低ければ低いほど良いものなんです。個人的には、そう思います。


 他のやるべきことが山積みで更新頻度は低いと思いますが、よろしければ応援していただけると嬉しいです。

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