◆襲来!和装の転校生?
翌朝。
美咲が登校しようとすると、玄関で沖田が刀袋(木刀入り)を背負って待っていた。
「美咲殿。
今日はぜひ、そなたの“学び舎”を見学したい」
「えっ、学校!? なんで!?」
「未来の世を知るには、若者の集まる場所が一番と聞いた」
「誰から!?」
「テレビの“学園ドラマ”より」
「ドラマかい!」
しかし病み上がりの沖田を一人で残すのも不安で、
結局、美咲は学校へ連れていくことにした。
そして――
校門前で、騒ぎが起こった。
「え? 誰あの超絶イケメン……」
「和服? 舞台俳優?」
「顔面国宝レベルじゃん……」
数十人の視線が集中し、沖田は軽く頭を下げる。
「おはようございます」
その一礼がまた美しすぎて女子たちから悲鳴が上がる。
「……沖田さん、今日もビジュ強すぎ」
「ビジュ……?」
「見た目って意味!」
⸻
◆ 教室、大混乱
美咲のクラスに足を踏み入れた瞬間。
「きゃあああああああああああああっ!!!!??」
男子も女子も騒然。
担任の先生まで目を丸くする。
「桐島……この人は?」
「えっと……遠い親戚……的な……?」
「そうか、親類の方か……(絶対違うだろ)」
しかし担任もあまりの美形に深くツッコめない。
席に案内すると、ゆりがダッシュで来た。
「沖田さん! 今日も尊い!!」
「水瀬殿、落ち着きなされ」
「その“なされ”が! もう! 刺さる!!」
ゆり、すでに息切れ。
⸻
◆ 一人称問題、発生
授業前、沖田は美咲の隣で静かに座っていた。
そして真面目にひと言。
「わしは、この“学校”という場に――」
「ちょ、ストップ!」
美咲が慌てて遮る。
「その言い方!
“わし”ってキャラ老人っぽいから!
イケメンに似合わないから!!」
クラス全員が「分かる……!」と頷く。
沖田はきょとんとした。
「……老人ぽいのか?」
「いや、実際は似合う時代もあるけど……
見た目がイケメンだからギャップが激しすぎるというか……!」
ゆりも手を挙げて力説する。
「そう! 沖田さんは“わし”じゃなくて
“俺”とか“僕”とか! そっちが破壊力高いの!!」
「破壊力……?」
沖田はしばし考え――
「では……“俺”とやらを使えばよいのか?」
その瞬間。
女子全員「ひっ……!!(尊死)」
美咲も固まった。
「い、いま言った……“俺”って……沖田さんが……」
「美咲殿。
……俺は、この未来をもっと知りたい」
「うわあああああああああああ!!!!
似合う! めっっちゃ似合う!!」
ゆりは机を叩く。
「やばい……“俺”沖田、国宝……!」
教室の気温が3度上がった。
⸻
◆ 少し照れる沖田
「……そんなに変か?」
「変じゃない! カッコよすぎて事件!」
「事件とは……?」
美咲が顔を赤くする。
「沖田さん、“俺”が似合いすぎて……
なんか……心臓に悪い」
その言葉に沖田は、少し頬を赤らめた。
「そうか……
なら、美咲殿には……俺と呼ぶとしよう」
「やめて! いまの破壊力高すぎて倒れるって!!」
⸻
◆ 新たな日常へ
こうして、沖田総司は“俺”という一人称を手に入れた。
そして、クラス中が騒がしくなる中、
美咲の隣で静かに微笑む。
「美咲殿。
……俺は、この時代でできることを見つけたい。
そのために、まずはそなたの隣で学ばせてほしい」
「う、うん……!
ちゃんと案内する……から!」
放課後――学校はまだ騒ぎの余韻を引きずっていた。




