「令和の剣豪・推参!」
全国大会優勝校として名高い桐島高校剣道部。
その主将・蓮は、“現代最強の高校生剣士”と呼ばれる男だった。
美咲が沖田と以蔵、そして斎藤を連れて剣道部に顔を出すと、
体育館の奥で竹刀を構える蓮が、こちらへ静かに振り返った。
「……話は美咲から聞いたよ。君たち、本当に“幕末から来た”んだって?」
蓮の声は落ち着いていて、どこか大人びている。
部員たちのざわめきもどこか遠くなるような、不思議な存在感だった。
沖田が軽く礼をした。
「斎藤、それに以蔵も世話になっているらしい。君が剣を教えているのか?」
「ううん。教えるってほどじゃないよ。ただ——」
蓮は沖田たち三人を見る。
その眼差しには侮りも恐れもなく、ただ純粋な分析が宿っていた。
「あなたたちは、今の日本を守るために戦ってるんだろう?
半次郎一派が動いてるって聞いた。僕も協力したい」
以蔵が口をぽかんと開ける。
「お、おまえ……話が早いのう……現代っ子ってもっとビビるもんじゃ……」
「ビビるよ? でも、それより興味がある」
蓮は微笑む。穏やかだけど、どこか剣豪の鋭さを隠している笑みだ。
「歴史を変えた人たちが目の前にいるんだ。
今の武道が、あなたたちにどれだけ通用するか……知りたくないわけがない」
沖田は一瞬だけ目を細め、その発言にほんの少し心を揺らした。
(面白い子だな……剣の空気が、良い)
「蓮くんはね、ただの剣道バカじゃないの」
美咲が言う。
「大学で歴史と軍事戦術の講義を先取りして受けてるくらい、頭もいいの。
整理とか戦術の立案とか、超得意だから——」
「軍師向きってことか?」
斎藤が低く呟くと、蓮は苦笑した。
「まぁ……現代の知識が、あなたたちの力になれるなら、使うよ」
以蔵が感心して腕を組む。
「ほぉ……現代に来ても“軍師”ってやつはおるんじゃなぁ……!」
蓮はひと呼吸置き、沖田に向かって歩み寄った。
「もしよければ、僕を仲間に入れてほしい。
戦闘でも、情報整理でも、どっちでも役に立つと思う」
沖田は静かに蓮を見る。
刀を抜かずとも、二人の間の空気が張り詰める。
やがて、沖田は優しい声で言った。
「——頼りにさせてもらうよ、蓮」
蓮は胸を張って頷いた。
「うん。じゃあ、これからよろしく。
半次郎一派がどれだけ異能を手に入れても……僕らで勝てる道筋を作るよ」
こうして、
現代最高の剣豪であり軍師でもある蓮が、沖田たちの仲間に加わった。




