「警察署跡地、夜」
警察署は半次郎一派の異能襲撃によって壊滅していた。
周囲の道路は抉れ、パトカーはひしゃげ、
夜風の中に焦げた匂いだけが残る。
その廃墟に、三つの影が降り立った。
沖田総司。
斎藤一。
岡田以蔵。
幕末の怪物が、令和の闇に並び立った瞬間だった。
以蔵:「……ひでぇもんやな。刀はいらん言うて暴れ回っとるわ」
斎藤:「半次郎の配下……“異能”を得たとなれば厄介だ」
沖田は瓦礫の上を歩きながら、静かに息を吐いた。
沖田:「どのみち……止めるしかありませんからね」
その声音は、かつて死の病に蝕まれていた青年のものではない。
転生を経て蘇った剣聖の、圧倒的な自信を帯びていた。
⸻
◆ ――半次郎一派・幹部登場――
瓦礫の影から、三つの強烈な気配が出現した。
◆ 一之瀬 甲牙
筋肉の塊のような男。異能「鉄殻」
全身が鋼鉄に変わり、常規外の防御力を誇る。
◆ 神代 霞
白い髪の少年。異能「虚歩」
空間を“抜かれて”攻撃がすり抜ける。
◆ 鷹栖 蓮火
黒装束の女。異能「煉鎖」
炎の鎖で相手を拘束し、焼き切る能力。
蓮火はゆっくり前に出た。
蓮火:「さすが幕末の英雄……この時代まで追ってくるとはね。
でも――あなた達は“古い”」
斎藤の眉がピクリと動く。
斎藤:「なら試すがいい。
剣が古いか……お前達の力が浅いか」
⸻
◆ ――激戦開幕――
三人の異能幹部が一斉に跳んだ。
◆ 鋼鉄の右腕が斎藤を襲う
甲牙の拳が地面を叩き割り、瓦礫が弾け飛ぶ。
斎藤:「重いな……だが遅い」
斎藤の踏み込み――
夜の中に、ひとつの直線が引かれた。
「左之太刀」
刃が横一閃。鋼鉄化した甲牙の胸に亀裂が走る。
甲牙:「……な、に……? 俺の“鉄殻”が……!」
斎藤:「貫けぬものなどない」
淡々と告げながら、次の構えに入る。
⸻
◆ 空間を抜ける少年 vs 沖田
霞:「無駄だよ、剣なんか当たらない」
沖田の突きが霞の胸を貫いたかと思うが――
刃は虚空に溶け、何の手応えもない。
霞:「当たんないって言ったでしょ?」
沖田は微笑んだ。
沖田:「なら……どう当てるか考えるだけです」
次の瞬間、沖田は 自分の刀を“投げた”。
霞:「意味ないって――」
刀は霞をすり抜ける。
だが沖田は、すり抜けた刀の“先”に回り込み、
素手で柄を掴み直す。
霞:「!?」
沖田:「虚ろを抜けた先なら……」
沖田の刃が、霞の肩を深々と裂いた。
⸻
◆ 以蔵の狂気 vs 炎の鎖
蓮火の鎖が蛇のようにうねり、以蔵を縛り上げる。
蓮火:「あなた有名だったわね。人斬り……以蔵」
以蔵は笑いながら鎖を引きちぎろうとする。
以蔵:「せやけどのぉ……“焼ける前に斬ればええだけ”やろ?」
次の瞬間。
以蔵の飛び込みが速すぎて、炎の尾だけが残った。
蓮火:「っ……!」
斬撃が胸元を裂き、蓮火は大きく後退した。
⸻
◆ ――三対三の乱戦、決着へ――
沖田の“流麗な刺突”。
斎藤の“理詰めの太刀筋”。
以蔵の“狂気を孕んだ速さ”。
三人の圧力に、幹部達は明らかに押され始めていた。
甲牙:「バ、バケモン……! これが本物の侍……!」
霞:「撤退……しないと……!」
蓮火:「いや……総長(半次郎)が来るまで時間を――!」
斎藤が静かに歩み寄る。
斎藤:「遅い。
三人がかりでも……我らには届かん」
沖田:「終わりにしましょう」
以蔵:「まとめて落としたるわ!」
三方向から殺到する幕末の怪物たち。
その瞬間――
瓦礫と血の中で、幹部三名はついに崩れ落ちた。
⸻
◆ ――勝利。しかし、異能の“本体”は……――
息を整える沖田たちの前で、蓮火が口元だけ笑った。
蓮火:「ふふ……“総長”はこんなもんじゃない……
中村半次郎様は……もっと深いところに手を伸ばした……
世界を壊す力をね」
次の瞬間、蓮火たちの身体が“ざらつく光”となって消えた。
斎藤:「これは……転移か」
以蔵:「ちぃ……逃げられたかい」
沖田は静かに刀を収めた。
沖田:「半次郎さん……あなたはどこまで行こうとしているのですか」
令和の夜は、これから始まる大戦の序章として、静かに冷たかった。




