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沖田さん令和に惑う  作者: NoV


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19/26

「集う影」


雨の夜、

赤いパトランプが乱反射する新宿の裏路地へ、

沖田総司は駆け込んだ。


濡れたアスファルトの奥から感じる――

獣のような殺気。


「……半次郎――!」


沖田が叫んだ瞬間、

半次郎はゆっくりと振り返る。


「ほう。総司か。

こんな化け物のような街にまで、追ってきたんかい」


その声は、雨より冷たかった。


沖田は歩み寄る。


「半次郎殿……刀を収めていただけませんか。

ここは戦いの場ではない」


半次郎は笑う。


「おまんらもか……

なら、おもろい。斬り合おうやないか」


刃が雨を裂いた。


沖田も反射的に身構える。


二人の間の空気が一瞬で張り詰め――

まさに斬り結ぶ寸前。


だが――


龍馬の手が、沖田の肩を掴んだ。


「待て、総司!!」


沖田:「龍馬殿……! しかし――」


龍馬の目は、

この未来で教師として生きてきた者の冷静さと、

幕末を駆け抜けた男の鋭さを併せ持っていた。


「いまここで半次郎と斬り合うたら……

警察も巻き込んで、大惨事になるき!!」


「だが――!」


「違う。

半次郎は“誰も斬ってない”。

あいつはただ……時代が変わって困惑しちゅうだけじゃ!」


沖田の手が震える。


半次郎は無言で二人を見ていた。

まるで二人の会話のすべてを見透かすような視線。


そして――


「龍馬。

……おまんは昔から変わらんのう」


静かに刀を下げ――


次の瞬間には、闇へ溶けるように姿を消した。


以蔵:「あっ……! 兄さん、追うがか!?」


龍馬は首を振る。


「いや……あいつは“逃げた”んじゃない。

仲間を探しに行ったんじゃ。

この時代を、壊すためにな」


美咲が震えながら尋ねる。


「仲間……って……?」


龍馬は雨に濡れた髪を払い、

重い声でつぶやく。


「――半次郎派は、幕末にもいた。

“維新も開国もいらん。

武士の世こそ正義”と信じた過激派じゃ」


以蔵がさらに顔をしかめる。


「兄さん……まさか……」


龍馬は頷いた。


「おそらく……

半次郎と同じく“令和に転生した者”が、既に動きよる。

そして半次郎の周りに――集まり始めたがよ」


美咲:「そんな……!」


そのとき、紗耶がスマホを見て叫んだ。


「み、みんな……これ……!!

SNSで動画が……!」


画面には――

路地裏で半次郎が街灯を斬った瞬間がアップされていた。


再生数は瞬く間に

十万、二十万、五十万……


龍馬は顔を青ざめさせた。


「いかん。

あいつの存在は、もう世間に知れ渡り始めちゅう」


沖田の目に緊張が走る。


「――急がねば。

半次郎殿の“同志”が集まれば……」


龍馬:「令和は戦場になる」


美咲は唇を震わせながら、小さく呟いた。


「……これから、何が起きるの……?」


龍馬は雨雲の向こうを見据え、答えた。


「――幕末第二幕じゃ」


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