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沖田さん令和に惑う  作者: NoV


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17/26

「幕末の亡霊」



夜の東京・新宿。


ネオンが反射する雨の歩道で、

ひとりの警備員がビルの裏手で巡回していた。


「今日も静かだな……っと」


そう呟いた瞬間――


ズンッ!

空気が一瞬だけ歪んだ。


警備員は思わず後退る。


「な、なんだ……? 今の……?」


路地の奥で、白い煙のような“ゆらぎ”が揺れている。

まるで空間が裂けたように。


次の瞬間――


ドシャァン!


人影がひとつ、アスファルトに叩きつけられた。


警備員:「ひっ……! だ、誰だ……!?」


ゆっくりと立ち上がるその男は、

身に纏った着流しは血と土で汚れ、

片手には抜き身の刀。


痩せ細り、しかし異様な迫力を放つその眼。


男:「……ここは……どこじゃ……?」


警備員:「き、君……怪我してるなら救急車を――」


男の瞳が細まる。


男:「……“異国の獣道”かと思うたが……

どうやら、時代そのものが違うと見えるのう」


警備員:「え……?」


次の瞬間、

男の刀が、雨粒の間を滑るように動いた。


ヒュンッ!


街灯の柱が斜めに切り落とされ、火花が散る。


警備員:「ひ、ひぃぃぃぃ!?」


男は無表情で刀を払った。


男:「……わしを斬った奴らを追うて走っちょったが……

まさかこんな場所に飛ばされるとはのう」


雨の中、ゆっくりと顔を上げる。


その顔は──


“土佐藩随一の刺客”

中村半次郎(桐野利秋)だった。




その頃、龍馬・沖田・以蔵・美咲・紗耶は、

龍馬の真実を聞いた帰りで、みな静かな気持ちだった。


しかし、龍馬だけは空を見上げて眉をひそめる。


沖田:「……龍馬殿?」


龍馬:「今……奇妙な“揺れ”を感じたき。

わしだけか……?」


以蔵も、不意に背筋をぞくりと震わせた。


以蔵:「兄さん……わしも感じた。

“やばい奴”の匂いがするがよ」


龍馬は表情を変え、真剣そのものになる。


「総司……

この未来に来てほしくない奴が来たかもしれん」


美咲と紗耶が不安げに見つめる。


紗耶:「だ、誰……ですか……?」


龍馬は、雨の空の向こうを睨みつけながら答えた。


「“薩摩の人斬り”……

中村半次郎(のちの桐野利秋)じゃ」


沖田も血の気が引く。


沖田:「……あの男が、令和に……?」


龍馬:「まずいぞ。

あの男は、わしの仲間じゃが……

幕末最強クラスの剣の狂気を持っちゅう」


以蔵も顔を強ばらせた。


「兄さんが言う“狂犬”やきな……

総司、おまんも気ぃつけえ」


美咲:「ちょ、ちょっと待って!?

危険な人がタイムスリップしてくるって……そんな……!」


龍馬は美咲の肩に手を置く。


「安心せえ、美咲ちゃん。

あいつを止められるのは、この時代じゃ“わしら”だけじゃき」


沖田は小さく頷く。


「……令和を守る。

その使命の時が来たということですね」


五人の肝が据わったその同じ夜。


雨の新宿で、半次郎はゆっくり刀を握りしめる。


「……こんな化け物みてえな街。

面白かろうが」


令和の東京に、またひとつ“幕末の影”が落ちた。

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