「龍馬流、以蔵更生プログラム」
「以蔵、うち来い」
「はぁ!? なんでオレが!」
「更生ぜよ、更生!
おんしはこの時代で“普通の青年”として生きるき!」
「普通……オレが……?」
「そうよ。まずは令和の暮らしを覚えんといかん」
龍馬はニヤニヤ笑いながら、
以蔵の腕を迷いなく引っ張っていく。
「離せって! 引きずんな!」
「ええからええから!
ほら、今日からワシん家が“更生日記の始まり”ぜよ!」
「なんだその地獄みたいな言い方ァ!!」
廊下を引きずられていく以蔵を、沖田と美咲は呆然と見送った。
「……以蔵殿、頑張るのだ」
「完全に保護者と問題児の構図じゃん……」
⸻
龍馬の部屋は妙に生活感があった。
パソコン、食洗機、空気清浄機、スマートスピーカー……令和を完全に使いこなしている。
「まずはこれをマスターするぜよ」
龍馬が持ってきたのは――
電子レンジ
「これで“あっため”ができるがよ!」
「……は?」
「ここ押して、ここ押すと、食い物が勝手に温まるが!」
「いやどういう妖術だよ!?」
「やってみいや」
以蔵はおそるおそる冷凍おにぎりを入れ、
ボタンを押す――
ピッ……
――ウィィィィィィン
「動いたァァァァ!!??」
「おんし声でかいわ!」
以蔵はビビりすぎて龍馬の後ろに隠れた。
「これ絶対危ねぇだろ! 閉じ込めたら死ぬやつだろ!!」
「おんしは食べ物じゃないき大丈夫ぜよ」
「そういう問題か!?」
⸻
● 掃除機
「ギャアアアアアアア!!!
吸われる!!足が吸われる!!!」
「以蔵、そこに立つからぜよ! 吸わせるもんちゃう!」
● 炊飯器
「なんで飯が勝手に炊ける!?
何者だコイツ!?」
「炊飯器は敵じゃないき落ち着け!」
● 自動手洗いセンサー
以蔵が手を近づける
→ 勝手に水が出る
「出たァ!!??? おい誰だ! 水ぶっかけやがったの!」
「機械じゃと何度言わせるがや……」
⸻
「次はコミュニケーションの訓練ぜよ」
「なんだよそれ……」
「令和の若者は“笑顔”が大事じゃき!」
「は……?」
龍馬はスマホを向けて言った。
「さぁ以蔵、ピースして“イェーイ☆”言うちょって!」
「絶対嫌だァァァァァ!!!」
以蔵逃走
→ 龍馬追いかける
→ 床で二人ともすべって転ぶ
「イテェ! 何やらせんだよ、この時代のほうが怖ぇ!」
「あー……これは“令和デビュー”はまだ遠いぜよ……」
⸻
夜。
ようやく落ち着いた二人はカップラーメンを囲んだ。
「……これ、お湯入れるだけでできるんだろ」
「そうぜよ」
以蔵は慎重に麺をつまみ、ひと口。
「……うまっ」
「だろうがよ」
龍馬が笑うと、以蔵はほんの少しだけ肩の力を抜いた。
「……悪くねぇな、こういうの」
「うんうん、そうやって少しずつでいいがよ」
以蔵はカップを見つめて呟いた。
「……令和って……生きやすいのかもしれねぇな」
龍馬は柔らかく頷いた。
「そうぜよ。
生き直すには、ええ時代じゃ」




