プロローグ
──令和の女子高生・桐島美咲、沖田総司を拾う──**
白い光が弾けた。
息が詰まり、視界がぐにゃりと歪む。
喉には血の味。肺は焼けるように痛い。
──ああ、これが最期か。
沖田総司は薄れゆく意識の中、静かに死を受け入れた。
だが次の瞬間。
アスファルトの匂い。排気ガスの風。
夜の街に響くけたたましい機械音。
彼は、令和の新宿の路地裏で倒れていた。
「……どこだ、ここは……?」
立ち上がろうとして膝をつく。
見渡す光景は、見たこともない建物、奇妙な光を放つ広告、そして夜なのに昼間のように明るい世界。
そのとき──。
「ひっ、人が倒れてる!? ちょっ、大丈夫ですかっ!」
ぱたぱたと駆け寄ってくるスニーカーの音。
制服姿の少女が、息を切らしながら沖田を覗き込んだ。
桐島美咲、16歳。
ごく普通の女子高生。
公園帰りに友達と別れ、スマホをいじりながら帰宅途中だった。
「うわ、めっちゃ血……っ、救急車……救急車呼んだほうが……!」
震える声でスマホを取り出そうとする。
沖田は、美咲の“板のような光るもの”を見て思わず身構えた。
「その……刀か?」
「え? えええ!? これスマホですけど!? ていうか刀!? 何言ってんの!?」
美咲の叫びは、路地裏に響いた。
彼女は沖田の装束にも気づく。
「ちょっと待って、その服……新選組? いやコスプレ? え、え? 本物……?」
沖田は弱々しく、美咲をまっすぐ見つめて言う。
「……ここは……京ではないのか?」
「きょ……きょう? 京都? いやここ新宿ですって!
てかあなた絶対ただのコスプレじゃないでしょ!?」
美咲の心臓はバクバクだった。
制服姿の女子高生と、新選組一番隊組長。
この“ありえない組み合わせ”が重なった瞬間、令和の日本に静かに波紋が広がり始めた。




