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赤字続きの魔石細工店  作者: 夜風
第九章
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家族写真 (3)

 

 


 夕食の場へと行くと、そこにはシルバーと……カールの姿があった。

 

 

「あ、リオちゃんだぁ〜元気ぃ?」

 

 

 いつものように、緩く笑いながらリオに向けて手を振ってくる。

 

 先ほど写真の中で幼いカールの笑顔を見ているため、やはり今と昔では違うんだなあと彼に返事を返しながらリオは思う。

 

 そして、今日のカールは珍しいことに………というより、今までリオと顔を合わせてきた中で初めてあの黒いローブを身につけていなかった。

 代わりについさっきまでハイラムが着ていたような、上等で美しい装飾の施された服を着ている。色は相変わらず黒だったが、金と銀の糸で華やかな模様が縫い込まれていた。

 

 それは、シルバーにも言えることだった。

 普段着ている簡素な装いとは打って変わり、彼もまた、煌びやかな衣装に身を包んでいた。

 あんたそんな服持ってたのか、と心の中でリオは思わず呟く。

 シルバーの普段の姿からは想像もできないほど、品のある装飾が施されていた。

 


 なんか壮観だな、とリオは目を眩しげに細める。


 シルバーもカールも整った容姿をしているのだ。

 普段は洒落たものなど着ない二人がちゃんとしたものを身につけると、それはもう、眼福である。

 

 あ、ハイラムさんも加わった。


 ………なんなんだ、この美形兄弟は。

 この人達、血は繋がってないはずだよね?

 なのにどうして揃いも揃って顔が整ってるんだよ。

 ここにいる私は明らかに場違いじゃねぇかよ。

 


 絵になる三人の姿に、密かに恨めしげな視線を送っていると。

 

 

「おい、いつまでそんなところに突っ立ってやがる。飯食うぞ、早くしやがれ」

 

「……シルバー、今の一言で台無しです。もう少し、丁寧な喋り方を身につけませんか?」

 

「は?」

 

 

 いえなんでもありません、とリオは大人しく席に着いた。

 

 

 

 

 まもなく始まったディナーで、美しく盛られた料理の数々をリオはナイフとフォークを手にできるだけ上品に食べるよう努める。

 ……だって、ここはやっぱり貴族の家だから雰囲気を壊さないようにしないとね、うん。


 リオはそう己に言い聞かせながら他の三人からさりげなく視線を逸らす。

 ハイラムは当然として、カール…はまだしもシルバーまでもがその食べる所作が美しいだなんてきっと目の錯覚だ。

 というか、シルバーあんたアルジェンテじゃそんな上品に食べてないだろう、おい。


 ……などと思っている事は一切顔に出さず、リオはナイフとフォークを置いて小休止のついでにカールに尋ねる。


「で、カールは何故ここに?」

「ん?ああ、ハイラムとシルバーと一緒に王宮から帰ってきたからねぇ〜。あと、僕もハイラムの家でお世話になることにしたんだぁ〜」

「そうですか」

 

 すると、そこへシルバーが話に入ってくる。

 

「リオ、しばらくはアルジェンテには戻れないかもしれねえ」

「えっ…どれくらい、ですか?」

「ハイラムに聞け」


 思わぬ言葉にリオが期間を尋ねるも、シルバーは面倒くさそうに軽くハイラムの方を顎で指し、丸投げする。


「えーっと?ハイラムさん?」

「シルバー次第だな」


 リオはすぐにハイラムに視線を向けるが、彼もそう言って肩をすくめるだけだった。


「……だそうですが」

「…」

 

 2人の様子に、正確な期間は聞き出せそうにないと早々に悟ったリオは、内心溜め息を吐きながらも話題を切り替える。


 

「…そうだ、結局、王宮に呼ばれた理由は?今日分かったんですよね?」

 

 

 すると、シルバーは淡々と答えた。

 

「一年後、冬に開かれるパーティのための準備だ」

 

 パーティ?

 一体何のパーティだろうか。

 そんなリオの心の声を聞き取ったのか、ハイラムが言う。

 

「次の冬に、王宮で他の国々を招くパーティが催されるんだ。簡単に言えば、その装飾などを魔石細工職人たちにも作らせようと腕のいい職人が集められたって訳だ」


「へえ。王国中からって事ですよね。かなりの規模ですね」

「当たり前だ。他国を招くんだ、粗末なもんは見せられねぇよ。それに本当に重要な意味を持つパーティだからな」

 

 シルバーが真剣な声色で、リオに説明した。


「そんなに重要なパーティなんですか」

「戦争が終わって、各国との和平と友好を示すためのパーティだからな」

 

 戦争、とリオはその言葉を口の中で復唱する。

 やはりどの世界でも戦争というものは存在するものなのか。

 

「正式には各国との和平と友好を記念した式典だがな」

「別に変わんねぇだろ。どうせ、式典の後はパーティだ」

 

 正しくは式典がメインらしいが、シルバーにとってはパーティと言ってもそう大差は無いらしい。

 

 まあ、この人魔石細工以外だと細かいことはあまり気にしていなさそうだもんな。

 

「でも、それならとても名誉あることなんじゃないですか。そんな重要な仕事を任されるだなんて」

「ま、そうだねぇ〜。陛下にも会ってきちゃったからねぇ」

「え、陛下!?」

「そうそう。部屋に乱入してきてさぁ〜」

「乱入って…どういう状況ですか…」

 

 

 カールがケラケラと面白そうに笑い、リオは混乱する頭で生誕祭の時に遠目に見た国王陛下が部屋に乱入するという図を想像してみる………いや、全く想像できない。

 

 

 その後、リオはカール達から王宮での出来事について詳しく話を聞くのだった。

 

 

 


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