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赤字続きの魔石細工店  作者: 夜風
第九章
82/123

◆友人との会話

 

 

 


 

 ルイスがアルジェンテに居ついてから数日が過ぎた頃。

 

 

「てめぇも、来い」

 


 何処へとは言わなかったがシルバーの言葉の意味を理解したのだろう、リオは即答する。

 


「え、嫌です」

 

 

 王都への出発を明日に控えた夜、シルバーはリオを道連れに王都に連れて行こうとしていた。


「集めているのは魔石細工職人でしょう?なら目的だって魔石細工しかないでしょうが。私が行っても意味ないでしょう」

「目的や理由なんか知るか。けどな、これだけは言える……絶対に、面倒臭せぇことが、王都で待ってる」

「…呼ばれたのはシルバーです。店の方は任せてください。大人しく留守番してます」


 面倒、という部分に大いに共感したのだろう。

 リオは断固拒否の姿勢を貫くつもりらしい。


「てめぇ一人に、店の留守を任せられるわけねぇだろうが。店が潰れたら、シャレになんねぇ」

「ちょっと、それは失礼じゃありません?」

「それにな、俺が面倒事に巻き込まれてる時にてめぇだけ呑気に見てるだなんて、ハッキリ言って、むかつく」

「それがお前の本心か!!」

 

 包み隠さず打ち明けられた本心に、すかさずリオがつっこむ。

 ルイスは二人の様子に苦笑しながらも口を挟むつもりはないらしく、何も言わずに二人を見守っている。

 そこからは二人の言い合いが始まった。

 

 果てしない激闘の末、結局、リオは一緒に王都へと行くことになってしまった。

 

 

「リオも連れて行くんだ?」

 

 リオが恨めしげにシルバーを睨んで去っていくとルイスが少し意外そうにシルバーに尋ねた。

 

「ああ。あいつに店を任せるのは心配だからな」


「ふーん?そんなに"店"が心配なんだー。へえー」

 

 と、そこでにやにやとした笑みを浮かべるルイス。

 ……うぜぇ。

 

 

「おい、そのにやけた顔やめろ。気色悪りぃんだよ」

「えー。だってシルバー素直じゃないなーって思ったらさ。こう、自然と頬が緩んじゃってね?」

 

 ますます笑みを深めるルイスに、自然と自分の眉間に刻まれた皺が深くなるのが分かった。

 

「そんなにあの子が大事なんだ?弟でもできた感じ?」

「うるさい黙れこの変態」

「分かりやすっ!王都に馬車で往復するとかなりの日数ここを留守にしないといけないもんねー。そんな長い間リオを一人にするのが心配なんですねーお兄さーん」

「てめえその口縫い付けるぞ」


「でも、そこまで心配する必要ないんじゃない?リオだって、20は過ぎてるんでしょ?もう立派な大人だ。留守番くらいわけないと思うけど」

「……あいつは、魔法も使えねぇ。もし万が一何かあっても身を守る術がない」

「なに、ここってそんな危険地帯だったんだ?」

「…」

「まあ、俺は防犯用の魔法道具でも持たせとけばいいと思うけど?」

 

 その言葉に、シルバーはなにも言えなくなって、ただルイスを睨む。

 するとルイスは仕方ねぇなあ、とでも言うように苦笑した。

 

「……はいはい。それでもお前は心配なわけね。わかった、もうなにも言わないよ。まあ、確かにリオは魔法は不得意そうだよなーあの色からしても」

「色で決めつけて痛い目見る場合もあるけどな」

「それ、俺のこと?」

「てめぇは魔法使いとしてはクソだが、剣を持たせりゃ魔法のハンデすらも霞むだろうが」

「うっわー。褒められてんのか貶されてんのか分かんねー」

 


 ルイスはケラケラと笑う。

 

「でも、リオは俺と違って、ごくごく普通の一般人だもんなあ」

「………それだけなら、よかったんだけどな」

 


 魔法の才を持たない、戦闘訓練も受けたことのない、普通の人間。


 それだけなら、まだ方法はいろいろあったんだけどな。

 あいつをアルジェンテで留守番させることに、ここまでの不安材料はなかったんだけどな。

 

 確かにルイスの言う通りここは特に危険な場所でもないし、今まで強盗にあったこともない。

 ………ヴァルの件はカウントしないが。

 

 だから王都に連れて行くなんてしなくても、多分、大丈夫なんだろう。



 ーーーーー本当に?


 そう。



 ーーーーー黒い色。


 頭では大丈夫だろうと、分かっている。

 


 ーーーーー魔力を持たないリオ。

 

 それでも、不安を拭いきれないのは。



 ーーーーー自分がいない時にまた突然倒れてしまったら?


 自分でも過保護だと思ってしまうくらい、心配してしまうのは。

 

 


『そんなにあの子が大事なんだ?』

 

 

 

 ーーーああ、うるせぇな。

 

 そうだよ。

 その通りだ。

 てめぇの、言う通りだよ。


 大事じゃなかったら、ここまで心配なんてしねぇよ。

 もう一年半以上一緒にいるんだ、当たり前だろうが。

 

 

「それにあいつを拾って面倒みるって決めたのは俺だしな」

「ん?なんか言った?」

 


 目の前で首を傾けるこいつの言ったこともあながち外れてはいないのだろう。

 ……いや、リオの場合は弟じゃなくて妹か。

 

 ああ、でも何だろうな、この感じ。

 この馬鹿に図星指されたと思うとムカつく。

 

 

「……なあ、一発てめぇの顔殴っていいか」

 

「はあ!?なんで!?今の会話でどこからそこへ繋がったんだよ!?俺の殴られる理由って何!?」

 

「てめえの顔見てたらむかっ腹が立ってきた」

 

「理不尽っ!?」

 


 

 


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