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赤字続きの魔石細工店  作者: 夜風
第四章
20/123

親友の結婚式

 

 

 

 

 



 

 ついにタレイアの結婚式が行われた。

 


 タレイアは鮮やかな青のドレスに身を包み、幸せそうに笑みを携えるその姿は輝かんばかりの美しさだった。

 ウエディングドレスは白というイメージがあるリオにとってはなかなかに新鮮であったが、シルバーとともに新郎新婦を温かく見守った。

 

 式が始まる寸前まで、今朝から様子がおかしかったシルバーはしきりに辺りを見回していたが、最後に何やら安堵したかのように息を吐いた後、再びいつもの彼に戻った……一体何だったのだろう。

 

 また、タレイアの首にはシルバーの作った魔石細工の首飾りが輝いていた。

 注文通り青を基調として、無数の星が散りばめられた繊細な造りの魔石細工だった。

 

 

 


 無事式が終わると、リオたちは教会から披露宴が行われる会場へと移動した。

 披露宴と言えどもパーティに近いカジュアルなもので、リオは様々な料理を食べに会場内を奔走していた。

 なおシルバーは何処かに行ってしまったため、リオは一人で食べ続けている。

 

「ああ…本当にどれも美味しいものばかりですね」

 

 至福、とでも言うような表情でリオは呟く。

 

 

「はぁ…リオ、貴女って本当に…」

 


 そこへ、呆れを含んだ声がかけられた。

 その声にリオは料理を頬張ったまま振り返る。

 

「タレイア!」

 

 式の時とは異なるドレスに身を包んだタレイアは、リオが手に持つ皿を見る。

 

「やっぱり…リオ、食べてばかりいるのね」

「だって、どの料理も美味しくて」

 

 そう言って、リオはごくんと口にしていた料理を飲み込んだ。

 そこへ、聞きなれない声がリオの耳に入ってくる。

 

 

「タレイア、彼を紹介してくれないか?」

 

 

 リオはタレイアの隣に現れた青年を凝視した。

 リオよりも少し年上であろうか。真っ青な髪と瞳を持つ、整った顔立ちの青年だった。

 

 あ、この人、タレイアの旦那さんだ。

 

 すぐに気づいたリオは、タレイアが口を開く前にスッと姿勢を正し、微笑みながら綺麗に一礼した。

 


「初めまして、リオと申します。リン様、この度はご結婚おめでとうございます。タレイアの友人として、心よりお喜び申し上げます」

 


 相手が貴族であるため、リオは失礼のないよう、普段の倍以上丁寧に言葉を並べた。

 そんなリオに、リンは優しく微笑んだ。

 

「そうか、タレイアの友人か。今日は俺とタレイアの結婚式に来てくれてありがとう。タレイアの友人に会うことができて嬉しいよ」

「ありがとうございます」

「…リオ、そんなに畏まらなくていいわよ」

 

 リオの様子にタレイアがそう言うと、リンもそれに同意を示してくれたため、リオはその言葉に甘え少しばかり気を楽にする。


 それから、リオはしばらく彼らとの会話を楽しんだ。

 タレイアとリンの出会いや、リオとタレイアのテータムで過ごした日々、互いに話題に尽きることはなく、リオはリンともすっかり打ち解けた。

 

「…まったく、リオには少し嫉妬してしまうな」

「どうして?リオは友達よ」

「それでも、だ。こんなに綺麗で、俺の知らないタレイアのことも知っているだろう?タレイアの友人だと知らなければ、俺は心中穏やかではいられなかっただろうし、リオと笑って話すことなんてできなかったな」

「…リンさんは相当タレイアを愛していらっしゃるようですね」

 

 リンは冗談っぽくそう言ったが、実は、最初にタレイアがリオに話しかけた時、リオはリンから突き刺さるような鋭い視線を感じていたため、苦笑いで言葉を返す。

 

 この人、独占欲強そうだなぁ。

 もちろんリオは女であるし、そんな心配するようなことは何もないのだが、現在リオは男の格好をしている。

 タレイアもリオが女であると分かっているため、リンの言葉になんとも言えないような表情をした。

 

「リオは…そうね。友達だけれど、家族のようなものだわ」

「…タレイアがお姉さんで、私が弟かな?」

「…そうね」

 

 年齢的にはリオの方が歳上だが、いろいろとこの世界について教わったり、面倒を見てもらったりしたため、タレイアの方が姉という方がしっくりくる。

 タレイアは、リオの弟発言に微妙な顔をしていたが、ここで妹と言いなおすのもが面倒くさいと思ったのだろう。結局、何も訂正することはなかった。

 

 そんな新婦の心中など知る由もなく、リンは「そうか!じゃあ、リオは俺の弟でもあるな」と喜んでいる。




 それにリオも兄さんなどと言い始めてしまうものだから、タレイアは二人に聞こえぬよう、小さく溜め息を吐いた。

 

 

 

 



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