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赤字続きの魔石細工店  作者: 夜風
第三章
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不思議なこの世界

 








 セシリアとノエリアを見送り、シルバーが作った夕飯を食べ終えるとリオは自分の部屋に戻った。

 掃除や洗濯はリオの仕事となっているが、キッチンに立つのはシルバーの役目だった。

 単純に、シルバーの方が料理が上手かったからである。

 部屋に入ると、リオは今日カールに貰った魔石細工を棚に置いた。

 

「それにしても、今日は初めて知ったことがいっぱいだったな」

 


 魔石細工の作り方。

 属性の色。

 この際、カールがどのようにしてリオの本来の髪と瞳の色を知ったのかは置いておこう。

 この世界は、不思議だ。

 バフン、とベッドに身体を沈めながら、そう思う。

 

 この世界には、魔力というものが存在する。

 そして、その魔力を使って発動する魔法だってある。

 今、リオが見上げているこの部屋の照明だってそうだ。

 スイッチでつけたり消したりするのは、元の世界と変わらないが、これは所謂魔道具、というものの一つらしい。

 部屋を明るくしているこの光は魔法によるもので、それは魔力によって作動する。

 魔道具の中に、その魔法を発動させる何ががあってーーー魔法陣だっけ?ーースイッチを押すことで、そこに魔力を流す、らしい。

 ちなみに、その魔力はあらかじめ魔道具の中に貯めておくのだとか。だから魔力のストックがなくなったら、また魔力を注ぎ込まなければいけない、とのこと。


「魔力が電池みたいなものなんだよね。確か、この照明は火の魔法の応用だっけ?」


 元の世界は魔法なんてない世界だったのだから、リオにとって魔法とは実に神秘的で、不思議な存在だった。

 それを知るのはとても面白い。

 この世界で何かを学ぶのは、実に楽しかった。

 

「いろんな属性があるのは知ってたけど、それぞれに色があるなんてね。…あ、それなら、」


 リオはごろりと身体を回転させる。



「あれは、何の属性の色だろう?」

 

 

 棚の上の黒猫は、様々な色を混ぜ合わせて黒い色を作ったとカールは言っていた。

 黒猫の、その隣。

 棚に置いてある、カールのくれたものとは別の魔石細工にリオは目をやる。

 

「あ、少し埃かぶっちゃってるな」


 少しして、それに気がついたリオはベッドから身体を起こし、その魔石細工を手に取る。

 そして部屋にあった柔らかい布で、優しく拭いてやる。

 

 

「よし、綺麗になった」

 

 

 リオは、綺麗になった魔石細工を満足げに眺める。

 それは、初めて目にした時と変わらぬ美しい輝きを放っていた。

 

 花の形を模した魔石細工。

 リオの、大切な、魔石細工。

 

 

 

 

 そっと、リオはそれを棚に戻した。

 

 

 

 

 

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