Q.雪泥棒
その村のとある村人は、国語の才能があった。
そして、ほかの村人に問題を出し、村を盛り上げていた。
いつしかその村は『問題村』と呼ばれるようになった。
その呼称は、問題のある村だと誤解を招きやすいため、困っている村人もいたが。
彼の問題で、一つだけ村人たちが全く解けなかった問題を紹介しよう。
「スパルタ王妃と国王の間で生まれた兄ポルックスと、スパルタ王妃と全知全能の神ゼウスとの間に生まれた弟カストルの話だ。
ポルックスは人間、カストルは神の子でだった。
2人は信頼し合っていて、とても仲がいい兄弟だったんだ。
ポルックスとカストルには、従弟にイダスとリュンケウスという兄弟がいましたが、この2つの兄弟はとても仲が悪かった。
そしてある日ポルックスとカストルの牛を全頭、イダスとリュンケウスが盗んでしまいました。ポルックスとカストルは腹が立ちましたが、その日はそのまま何もしなかったそうだ。
月日が経って、ポルックスとカストルは、レウキッポス王の娘(姉妹)に一目ぼれをし、その後、合同の結婚式をあげた。
そこに来ていたイダスとリュンケウスが、華やかな式には似つかわしくない暴言を、兄弟2人に言ったそう。
暴言を言われたことや、前に牛を盗まれたことにも怒りが湧いてきたポルックスとカストルは、前に従弟兄弟に盗まれた全頭の牛を奪い返した。
それに怒ったイダスとリュンケウスは、ポルックスとカストルに戦いを挑んできた。
戦いの中、ポルックスはイダスの槍に突かれて命を落とす。
カストルの方は、傷は負っているものの、神の子で不死身なため、なんとか戦いには勝った。
仲の良かった兄を失い、カストルは悲しみに暮れて、見かねたゼウスが天界へ呼び戻そうとします。
ですがカストルは、“兄と離れることはできない”と申し出を拒みます。
そんなカストルの思いをくんで、ポルックスに不死身性を与え、兄弟は一緒に1日置きで、天界と人間界を行き来できるようになったそうだ。
俺はこの神話を『雪泥棒』と呼んでいる。何故だか、わかるかな?」
A.切ないから。切ない=雪無い。