第一話
俺は『アイリス・バルディアス』
俺は平凡なサラリーマンだ。朝起きて、飯食って、ぼーっとしてたら会社に行く時間になって、パソコンとにらめっこしてたら昼休憩の時間になって、そのあともいろいろやって気づけば20時。家帰ってダラダラしていればもう一日が終わる。そんな毎日だ。今日はたまたまティッシュが切れていたのでついでにポテチでも買おうとコンビニに向かった。うちは一人暮らしなのにティッシュの消費が無駄に早い。ナニに使っているのかはご想像にお任せしよう。会計を終えて外に出ると、何やら騒がしい。殺人事件があったようだ。「まぁ俺には関係ないし、早く家に帰ろう。」そう考えていた矢先、パーカーを着た男がこっちに走ってきた。俺は混乱と恐怖で逃げることも声を出すこともできなかった。腹部に激痛が走る。刺されたのだ。俺は彼女もいないし童貞なのに、死んでしまうのか?見ず知らずの男のせいで。意識が遠のいていく。「あぁ、せめて両親には謝っておきたかったなぁ...」喧嘩別れのように家を出てしまってから、一度も連絡を取っていない。まぁもう死ぬんだしそんなこと考えなくていいか。もうどうでもいい。「死ぬときは眠りにつく感覚と近いな。」そんなことを考えていたら、明るい光が差し込んできた。ここは天国か?いや、ここは家?病院とかではないな。じゃあやはり俺は死んだのか。てか目の前の人たちは誰なんだ。俺のことを見て喜んでいる。やっぱ地獄なのか?何言ってるのかわからないし。とりあえず尋ねてみるか。だがうまくしゃべれない。またさっきのやつら喜んでるし。馬鹿にしているのか?ムカつくし一発左フックをくらわしてやる。そんなことを考えながら手を伸ばすと、「俺、赤ん坊になってる!?」これは転生というやつだろうか。信じられないが、信じるしかないな。いやいや待て。「そもそもここはどこなんだ。」何日かたった。どうやらここは日本ではないどこかだ。自然がすごくきれいでなにせ空気がめちゃくちゃうまいのだ。だが一つ難点がある。それは電気、ガスがないことだ。いくら自然豊かとはいえこれはちょっときついな。まぁそんなことより、両親の名前とこっちの世界での俺の名前が分かった。どうやら父は『アイク・バルティアス』、母は『アリス・バルティアス』、そして俺が『アイリス・バルティアス』だ。女の子みたいな名前だが俺は男の子だ。名前のせいで性別を間違えられる未来がみえるぜ。まぁせっかく転生したんだ。今までの生活みたいにならないよう全力で生きてみようかな。そんなことを考えていると、信じられないものを見てしまった。母アリスの手から火や水が出ているのだ。唖然としていると次は父アイクも外ででっかい剣を振り回している。なんと俺が転生してきたのは、異世界だったのだ。信じられないが実際にこの目で見たのだ。信じざるを得ない。俺は心に決めた。前世では平凡だった俺だが、この世界で名を轟かす男になると...
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