#8 準備不足と朝食と驚きドリップと
二人して意気揚々と冒険者ギルドを後にして、依頼をこなそうかと言うところで俺は感じなことを忘れていたことに気づいた。
「少し待ってくれ、ファレナ。俺たちは感じなことを忘れている。」
「それは何でしょうか、ゼディア様?」
こてんと少し首を傾げるファレナ。
「それはだな、腹ごしらえと依頼のための準備だ。」
そう俺たちはまだ、朝飯を食べていない。さらに言えば依頼を受けたものはいいが圧倒的に準備不足だということ。このまま依頼をこなそうにも、薬草の見た目は依頼を受けるときに見たから分かるが、スライムを倒すための装備がない。
「ということでファレナ。オストルから貰った3000リアを二人で分けて色々準備をしようか。」
「たしかに、お腹がすいては依頼をこなせないですね。それに準備は大切です。準備を怠った冒険者は必ずどこかで失敗すると言いますから。」
ということで俺たちはまず朝食をいい感じに食べれそうなお店を冒険者ギルドから出た商業区で探すことにした。
冒険者ギルドから出て昨日、訪れたことがある噴水前を遠目からみると出店らしきものが何店も出ているのが分かるが、置いているのは食材系ということしかわからなかったが、立ち食いできそうな出店は今のところ遠すぎて分からなかった。
更に少し歩いて、周囲の店をファレナと一緒に見ることにした。
「ゼディア様、このカフェ?という場所はどうでしょうか?なんだか雰囲気も柔らかそうで良いですし。」
ファレナは初めて見るカフェに興味をひかれたのか赤く輝く瞳の瞳孔が少し開いていた。
「よし、じゃあ朝食はこのカフェでとろうか。」
そういって、カフェの扉を開けると......
カランカランと心地の良い鈴の音が俺たちの二人の来店を知らせる。
「いらっしゃい。カフェ『エヴァ―ライト』へ。」
「いらっしゃいませ!」
エヴァーライトというカファに入ったとたんに、背の高い金髪のイケメン店員と褐色肌で緑髪の少女がすぐに声をかけてくれた。
どちらもカフェ店員のような恰好で金髪イケメンの方は猫のワッペンをしていて、褐色緑髪の少女は何とメイド風の装いだ。
「朝食を食べに来たんだが、朝食系のメニューってあるかな?」
総金髪イケメンに尋ねると......
「まぁまぁ二人ともこのカフェの利用は初めてだろう?落ち着いて僕の方のカウンター席に来てくれよ。きっと二人とも満足させて見せるから。それに......」
とてとてと可愛らしい足音を立ててメイド少女店員がやってくる。
「それに自己紹介がまだ......私はネマ。」
淡々とした声で自己紹介してくるネマというメイド少女店員。
それから、
「僕はこのカフェ『エヴァ―ライト』の店主、エヴァンスだ。これからなが~い付き合いになると思うからよろしく。」
エヴァンスがカウンター越しから握手を求められたので対応する。
「俺は神鶴ゼディアという、こっちの彼女は―――」
「―――ファレナと言います。ゼディア様と一緒に冒険者活動を今日から始めました。ネマちゃん、エヴァンスさんこれからよろしくお願いしますね?」
すっと流れるようにファレナが自己紹介を流れるように済ませ、ほほ笑む。
彼女の美少女スマイルは破壊力抜群。店員二人の反応は......?
ネマは少しの波風が立たない表情をしているがファレナとの距離が近くなった気がする。
エヴァンスの方は何事もなく接客に戻ろうとしている。
なるほどエヴァンスはこのくらいの美少女耐性はあるのだろうと推察する。
「ゼディアくんにファレナさんだね。それじゃ、メニューがあるからそれを見て注文を決めちゃってくれ。」
促されるようにメニュー表とやらがカウンタ―席にあったのでファレナと一緒に見ると、パンケーキやスクランブルエッグとベーコン、メロンソーダにコーヒー。
カフェならではのメニューが軒並み揃っていることに驚きを禁じ得なかった。
何故ならここは中世風の世界観なのに、現代レベルのカフェと同等のメニューがあるからだ。
異世界というのは不思議だ。
カフェのメニューが余りにもよく悩んだ末に出した答えは......
「エヴァンス、俺はこのマフィン2つとスクランブルエッグとベーコン、それからコーヒーをお願いするよ。ファレナはどうする?」
俺からの声掛けに少々のレスポンスがありながらもファレナが答える。
「う~~~ん。悩ましいですが、このぱんけーき?というものとゼディア様と同じこーひー?というものをお願いします。」
「ファレナさんはパンケーキとコーヒーを見るの初めてかな?きっと美味しさに驚いちゃうから覚悟しててね。それじゃ、少々作るのに時間がかかるから談笑しててくれ。」
そう言い残して、エヴァンスはカフェの厨房に入っていった。
ネマもエヴァンスの手伝いをするのか、厨房に入りファレナと二人きりとなった。
ファレナの方を見るとパンケーキを待ちきれないという表情が全面から醸し出されている。
トレードマークの長くて奇麗なツインテ―ルがピコピコと揺れ動き、ふんすといった構えだ。
確かメニューに書かれていたパンケーキには猫の顔が入っていた。少女はかわいらしいものに目がないというのは本当らしい。
「パンケーキ楽しみだな。」
「はい!だって、可愛い猫と甘い蜜のようなものがかかっていて美味しそうでした。って、お腹がすいてしまうことを言ってしまいました......」
ぐうぅっとファレナからかわいらしい音がなる。
「大丈夫だよ、ファレナ。落ち着いて待とうよ。」
暫くすると厨房から出てきたネマがパンケーキを運んできてくれた。
「どうぞ、ご注文のパンケーキです。」
ネマがパンケーキをファレナのカウンターにゆっくりと置き、ファレナはそのパンケーキから醸し出される甘い匂いとビジュアルにやられたのか放心している。
お次にエヴァンスがコーヒーを二人分とマフィンとスクランブルエッグとベーコンをカウンターに置いた。
「どうぞ召し上がれ。今日は腕によりをかけて作ったからね。」
俺の方に置かれたマフィンは黄金に輝き、スクランブルエッグとベーコンは小躍りしているのではと感じられるほど新鮮さと焼きたての香ばしい香りが漂う。
「いただきます。」
日本式の儀式をして初めて、エヴァンスが目を見開いた。それと同時にネマも驚いていた。
俺たちがカフェの朝食に心を奪われているところ、彼らはそれどころではなかったようだ。
俺たち二人が食べ終えた時にふとエヴァンスが神妙な顔で一言。
「攻略者という存在を知っているかな―――――――」
遅れてしまい申し訳ないです。しかし、良い話が書けました。




