#5 実力者へのフォーアンサー
ギルドの地下訓練場にてオストルとファレナと俺の三人の貸し切り状態で決闘は行われる。
「なぁ、ゼディア。俺の見た限りの予想だが。お前さんは戦いを知っている。それも死闘をくぐり抜けているそんな目をしている。」
オストルが俺の実力をまた見透かすかのように言うが、俺は戦ったことなんてなかったはずだ。それも現代において戦うことなんてゲームぐらいの対戦でしかありえない。
だが、どうしてだろうか。俺の手は武器箱の中にある抜身の刀を手に取っていた。
「なっ?言ったろう?お前さんは実力はまだねぇが、いっぱしの戦士の顔つきは視点だ。その証拠に手になじむ武器を無意識下に手に取っちまっている。」
「だけど俺は戦いなんてことは......一度もしたことなんてないはずだ......」
オストルが何か心当たりのありそうな顔でこっちを向いた。
「お前さんみたいなやつがな。つい2か月ほど前、リステラに現れた。そいつらの中には怒涛の快進撃を繰り広げて冒険者ランクSに到達したパーティーまで現れちまった。」
悔しそうに語っているはずなのに、どこか英雄譚を見た子供のような目を輝かせながら俺たちを見る。
「そいつらはな、攻略者と呼ばれるようになった。もちろんSランクに到達した奴もいるように実力が振るわなかった奴らもいたんだ。それでも俺はそいつらに光り輝く才を見た。全員だ。」
「普通はそんなことあり得ないだろ?100近くの人間が全員違う突出した才能を持っていて半年もすればでけぇ芽が出てくるかもしれないポテンシャルを持ち合わせてんだ。」
オストルの独白は俺とファレナの両方を指して言っているのだろう。
きっとお前たちもそうなんだろう。そんな希望的観測で俺たち二人のことを期待している。
なら彼の為にもここで答えたいと気持ちが強くなった。
こんなに感情的に熱くなるなんて初めてのことだ。
子供のころですら泣いたことなんてないくらいの薄情者が、今期待に応えたいなんて思ってしまった。オストルという冒険者は凄い背中の大きい男なのだと感じ取ってしまった。
ファレナからも応援の声が届く。
「頑張ってくださいゼディア!今日の寝床とお夕飯かかっていますから!」
なんて冗談交じりにおちゃめな応援をしてくれている。
やるしかない。
オストルを見る。眼前に刀を構える。
訓練場の広さはそこそこの広さに石畳。踏ん張って滑るなんてことはなさそうだ。
「いいじゃねぇか。その顔。ちゃんとした戦士の顔だ。さぁ始めようぜ!」
「ああ、よろしく頼む。オストル!」
試合開始の合図はファレナの始めの合図で開始される。
緊張の一瞬。
ファレナがタイミングを計って緊張の糸を切る。
「始め!」
その合図と共に飛び出したのは俺だった。慣れないはずの刀を持って相手を釣るように突撃していく。誰が見ても武器に成れていない人間の攻撃。
「はぁ!」
刃の潰れた刀の一刀をオストル目掛けて上段から振り下ろす。
オストルの武器はその体躯に見合うほどの大剣ですぐさま俺の一撃はそのでかい大剣で弾かれた。
「おいおい、さっきまでの威勢からこんなちんけな攻撃が出てくるとは思わなかったぞ?実力はやっぱりこんなもんなのかぁ!?」
オストルの煽りに答えるかのように、すぐに次の一手を取っている。
弾かれた後にすぐさま攻撃するのではなく、引いていく。
「おいおい、逃げるのかよ。それじゃいつまでたっても俺は倒せないぜ?」
「まだまだここからだ!」
俺は刀を水平に保って突きの構えを見せる。
「素人の刀の突きなんぞ。痛くもかゆくもねぇ。早く打ってきやがれ。」
挑発を続けるオストル。
しかしその一瞬で俺は彼の眼前に移動していた。
狙いは首。
突きの構えから一気に全速スライディングからのジャンピング抜刀。
「首斬兎」
戦闘状態の高ぶりからきざったらしい口が笑みを浮かべてオストルの顔に驚愕の二文字を浮かばせる。
オストルも負けじと俺の攻撃に反応していた。
多少の遅れもありながらもオストルは一気にしゃがみ込んで俺の抜刀を回避していた。
攻撃をスかった俺は手持無沙汰の刀がちゅうぶらりん。
オストルはしゃがんだ態勢から一気に俺にタックルを仕掛けて肉弾戦に持ち込まれた。
クッソ巨大な体から放たれる弾丸のようなタックル。
直撃した俺の身体は訓練場の壁に叩きつけられていった。
格闘戦にもならずあっさりと俺は意識を手放さなかった。
意地があった。
まだ倒れたくなかった。
こんなに早く決着をつけるには申し訳が立たなすぎるだろう!
何よりもファレナに!
くそみたいにミシミシ言ってる身体をかろうじて起き上がらせる。
視界もぼやけてまともじゃないのに何とか刀を杖にして。
「すまん!やり過ぎた、だい......じょ......」
オストルが俺の姿を見て言葉を飲み込んだ。
ファレナですら、俺の姿を見てゼディア様と叫んだ。
それでも俺は倒れたくない。俺の中に芽生えたプライドが立ち上がれと渦を巻く。
それは激情の一振り。
遠く薄れた視界の中で思い出したただ一つの可能性。
竜の顎を穿つが如く下段の構え。
「逆鱗」
武器を持っていない今のオストルには自分の腕位でしか防げない。
オストルを見ればニヤリとどこか楽しそうに俺を見て来いと叫ぶ。
やってやる。男と男の真剣勝負。
「これが俺の渾身の一撃だぁ!!!」
その一刀はオストルの両腕にぶち当たる。
力のこもった技もくそもないような感情だけの一撃。
それでもなお、オストルを後退させるに至るだけの一撃であった。
「あっぱれだ。」
オストルはそうつぶやいて。倒れ伏せた俺を眺めてそう言った。
すぐさま駆け寄るファレナ。
その思いは遠くへ向かう意識の彼には届かない。
だけど最後に耳の中に響いたのは。
「......ありがとう、最後まで戦い抜いてくれて―――――
――――かっこよかったです!ゼディア!」
滅茶苦茶遅れてしまって大変申し訳ないけど!やりたいことやり切れた。まだまだ小説の書き方わかんないしそれでも熱いバトルにできたのかなと思います!これからも頑張ります!




