#4 実力無き者に責任は問われる
噴水まで走った後に、少しこのリステラについてと冒険者ギルドの場所を怪しまれないようにリステラの住人に聞いてみることにした―――
―――聞き込みの結果、まずリステラはかなりの大きさの都市であることと同時に俺のいた世界と同じレベル以上の発展を遂げているらしい。
街灯は魔道具で夜道も明るく、現代レベルのタワーマンションやマンションもある。
それにウルマ学園という場所では転移魔法陣でらくらく移動も出来るという。
これは凄い場所だに来てしまったものだと素直に驚嘆する。
それから冒険者ギルドは噴水から南にある正門近くにある大きな建物の左側が冒険者ギルドだと教えてくれた。親切に教えてくれたリステラ住民に感謝しつつファレナにリステラという都市をどう思っているか聞いてみることにした。
俺とは違う世界から来ているから、ファレナにとってはこれが常識かもしれない。
「なぁファレナ、この都市リステラはファレナのいた世界と比べて同じくらい発展しているのか?」
ファレナは少し考えて、話し出す。
「う~んここまで、発展しているような都市はなかった思いますね。それもお城の中くらいでなければ転移魔法陣や魔道具という高価なものは設置されておりません。
ですから、この世界は私のいた世界よりももっと発展した世界であると言えます。」
「ということは、この世界はファレナのいた世界とも違うというわけだな。となると本当に俺たち二人とも別世界に来てしまったようだね。」
まぁ難しいことを考えても仕方ないだろうし、今は現状改善が優先か。
「……ごめん、ファレナ。それよりも今は冒険者ギルドに向かうの先だったよね。」
「いえ、私も少しこの世界の在り方を深く考えてしまっていたので、反省ですね?」
少し揺れたファレナの黒髪と宝石のように輝く紅い眼差し魅入られてしまうかと思うレベルでファレナは美少女レベルが高い。
「ん?どうかされましか?ゼディア様。少々顔が赤いような気がしますが熱でもあるのでしょうか。」
心配してくれる彼女の言葉が更なる追撃をかけてくる。いや耐えろ俺まじで。
「ああっ!大丈夫、だいじょうぶ。ごめん少し陽射しが強くてなんだか熱いよなぁ。さ!冒険者ギルドに行こうか、ファレナ!」
そう言ってファレナと一緒に冒険者ギルドに向かおうとする俺を見てファレナは。
「急に慌てだしてふふっ。面白い方ですね、ゼディア様は。では一緒に行きましょうか冒険者ギルドへと。」
慌ててしまった俺をクールダウンさせるかのように落ち着いた微笑みを返すファレナであった。
リステラの商業区とよばれるにぎやかな中央通りを歩いて数分後、俺たちは目的の冒険者ギルドに到着するのであった。
冒険者ギルドの外装はリステラを見た中で一番雰囲気がある建物であった。
まさしく冒険者ギルドと一目でわかるギルド看板があった。
そこには短剣と羽ばたく小鳥が描かれていた。
冒険者ギルドの中に二人で一緒に入るとその中はまるで新築かのようにピカピカなフローリングの内装であった。
受付カウンターも奇麗な受付嬢が受付しているし、クエストボードみたいな場所には冒険者のような人たちがクエストを吟味している。
俺たち二人が冒険者ギルドに来たらまず、することは冒険者登録だとリステラの住人の人が言っていた。
受付カウンターへと行こうと思った矢先。
「おい、よそ者の兄ちゃんと嬢ちゃん。まさか、冒険者になりに来た......なんて言わねぇだろうなぁ。」
迫力満点の高身長のおっさん冒険者が俺たち二人に向かって、テーブルから声をかけてきた。
マジかよ。まさか異世界転移もののテンプレがここに来て本当に起こってしまうとは思いもしなかった。
どうする?実力なんてないし、魔法が使えるからってファレナにまかせるだなんてことは......日本男児としてそれはいかがなものだろうか?
そうこう考えている内にファレナが動き出す。
「冒険者さんの言う通り、私たちは二人で冒険者登録に来ました。それに何か問題がありますか?」
彼女は堂々と自信をもってあの強そうなおっさん冒険者に言ってしまった。
「おうおう、いいねぇ嬢ちゃん。威勢がいいのは嫌いじゃねぇ。冒険者ってのは舐めらちまったらしめぇだからよぉ。だがよぉ、時と場合によってはそれがいけねぇことともあるってこった。」
そう言っておっさん冒険者はファレナではなく俺に向かってこう言った。
「なぁ黒髪の兄ちゃんよぉ。隣の嬢ちゃんはこんなにも自信たっぷりなのに、兄ちゃんは何にもなしか?俺にビビってるようじゃ、冒険者には到底なれねぇぜ。」
ファレナの発言から煽るように俺に向かってそんな言葉を浴びせるおっさん冒険者。
俺だって少しでも実力があったらファレナのようにノータイムで言い返せたかもな。
だが、ファレナだって同じ条件のはずだ。大人の冒険者相手にファレナは勇気をもって発言した。
ならおれもさんざん煽ってくれたおっさん冒険者に言い返さなきゃな!
「俺もそうだ。ファレナと一緒に冒険者登録をしに来た。威勢が無い若造で悪かったな。これでいいか?」
「ふん、まぁいい。それよりも、お前弱いだろ。」
「......っ!?」
痛いところを突かれた、このおっさん冒険者。俺の実力が分かるのか?
確かに俺の実力は皆無だ。戦うことも多分したことはないはずだ。武器だってもったことはないはずだ。
......すこしばかり頭がズキズキする。何かを忘れている?
だが、思い出せずに思考を振り切る。
「なぁ兄ちゃん。俺がお前の実力図ってやるよ。それでもし俺がお前さんが見込みがあると思ったら、冒険者としてサポートしてやるよ。」
「......どういうことだ?冒険者登録させないために突っかかってきたんじゃねぇのかよ?」
おっさん冒険者は指を左右に振って舌打ちをした。
「勘違いすんな冒険者になるのは勝手だ。自己責任というやつだよ全く。俺はお前さんに実力がないからやめとけと忠告してるのさ。」
「それでどうする?見たところお前さん方は金に困ってる感じに見える。俺と決闘して合格すれば金銭面でサポートしてやる、それか俺との決闘から逃げてしょっぱい依頼をこなして9区の安宿のくそかてぇベッドで腹すかしながら寝るかだ。」
迷わない。
「分かったよ。あんたの言う通りその勝負に乗った。俺たちはこんなところで立ち止まれないんだ。」
強くそう自分を奮い立たせるようにおっさん冒険者に言い放つ。
「なんだよ。できんじゃねぇか!いい面だぜ今のお前さんはよぉ。」
小さくファレナががんばれ~と言っているのが聞こえる。応援してる状況だろうか?
まったくファレナは謎に度胸があるな。
一見お嬢様にしか見えない美少女でも、中身はこうも違うとは事実は小説より奇なりとよく言ったものだ。
「おう、名前を聞くの忘れてたなぁ。とその前に俺の名はオストル。しがない冒険者だ。よろしくな。」
「俺は神鶴ゼディアだ。このリステラに来て日が浅いが、よろしく頼む。」
「私はファレナと申します。ゼディア様、決闘頑張ってくださいね!」
「ふん、いいパートナーじゃねぇか。ゼディアにはもったいないくらいだな。それじゃあついてこい、ギルドの地下訓練場でやるぞ。」
そう言っておっさん冒険者のオストルは流れるように手続きを終わらせて、地下訓練場へと向かっていく。
周囲から俺たちのことを観察していた冒険者たちのどよめきはオストル不敵な笑みを察して各々の日常に戻っていくのだった。
当然俺たちもそのあとをついていく。
今更になって考えたが、これぼこられたどうなるんだ?
一抹の不安を抱えながら俺とファレナは冒険者ギルドの地下訓練場に向かうのだった。
遅くなりました。戦闘は次回です。8/28完全に再開します!




