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私の願い  作者: 藤塚 圭
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第4話:天敵

 「はぁぁ~。久しぶりの我が家だよ。ミレイ。」


 そう、裕介と私は裕介の家に帰ってきていた。


 「やっぱり、我が家が落ち着くなぁ~。」

と、言いながらベットの上でゴロゴロする裕介。

 (そうだもんね。ここ4日ほど家に帰れなかったもんね。お疲れ様、裕介。)

 「みゃぁ~。」

 私はベットに飛び乗ると裕介の頬に自分の頬をなすりつけた。

 「何だ、ミレイ。甘えたいのか~。」

と、裕介はガバッっと私を抱きしめる。私は裕介に抱きしめてもらって、とても幸せで、とても安心した。

 (あぁ、やっぱり私は裕介の事が好きなんだな~。)

 などと思ってしまう私。その時、


 ピンポーン


 家のインターフォンが鳴る。

 「誰だ。こんな時間に。」

 もう時間は夜の10時だ。こんな時間に何の前触れもなく人の家を訪ねるなんてとても失礼だ。

 裕介は私をはなすと玄関に向かって歩いて行った。私はその間裕介が戻るまでベットの上で待つ。そして、


 ガチャ


 扉の開く音がした。すると、

 「何の用だ。」

 裕介の普段からは考えれないような低く、そして怒りを込めた声が私の耳に飛び込んできた。

 (どうしたのっっ。裕介。)

 私はあわててベットから飛び降りると玄関に向かって一目散に走って行った。そして、私の目に映ったのは突然の訪問者に向き合っている裕介の後ろ姿と、どこかのキャバクラに勤めているような派手なメイクに露出度のたかい服装をした女性がたっていた。

 (この人は…。)

 私はこの人を知っていた。この人は裕介の元恋人だった女性だ。確か名前は神埼かんざき美緒みおだったはずだ。

 (でも何でいまさら…。)

 「何の用事だ。もう2度と俺の前に姿を現すなと言ったよな。」

 「ひっどぉ~い。久しぶりに元恋人に会うなりそんな事いうなんてぇ~。」

 美緒の甘ったるい媚びるような声に私は気分が悪くなった。

 「だから、何の用だ。お前とは無駄な口を聞く気はない。」

 「もうっ。相変わらずつれないんだからぁ。ねえ、今晩泊めてよ。困ってるの。」

 「はぁ、何言っているんだお前は。」

 (そうよそうよ。いきなり来て何でそんな事を言うのよっっ。)

 これとばかりに心の中だけで加勢する私。猫の私が何を言っても伝わらないのであくまで心の中だけでだ。

 「だってぇ~、今晩泊るところがないのよぉ~。困ってるの。ねぇ、お願い。」

と、上目使いでお願いをする美緒。美緒は10人に聞いて、10人が絶対答えるほどの美人だ。そんな美人にこんな風にお願いされたら、大抵の男はお願いをきいてしまうだろう。だが、裕介はそうはいかない。

 「悪いが、他をあたってくれ。」

 はっきりと、裕介は迷いなく断った。

 (さすが裕介。もう、惚れ直しちゃう~。)

と、うっとりする私。私は人間だったころこの女にはひどい目にあわせられているのだ。

 私がまだ人間だったころ……、この人は裕介と付き合っている私に様々な嫌がらせをしてきた。裕介をあきらめる事ができなかったのだ。弁護士という肩書を持つ裕介を…。私に嫌がらせをしている。それを知った裕介は私が真っ青になるほど怒って彼女の所まで怒鳴りこみにいったのだ。それ以来彼女は私たちの元に現れる事は無かったのだが、今さら何をしに来たのだろう。

 「彼女、死んだのでしょう。」

 美緒は裕介にとっての急所をついてきた。

 その言葉にびくりと肩をこわばらせる裕介。

 「ねえ、よりを戻さない。彼女はもう過去の人。もう戻ってこない。私と新しい未来を創りましょうよ。」

 美緒はするりと裕介の腕に自分の腕をからませる。

 (やめてっっ。裕介に触らないでっっ。)

 私の心にどす黒い感情が荒れ狂う。

 「みゃぁーーーーー。」

と、私は2人に向かって走り出すと美緒の腕を引っ掻いた。

 「痛っっ。」

 美緒は痛みに顔を歪め裕介から腕をはなした。

 (裕介からはなれろっっ。)

 「フシャァー。」

 「何よこの猫。」

 美緒はいまいましげな表情をして私をあろうことか靴のまま蹴ったのだ。

 (きゃぁーーーー。)

 「みゃぁーーーー。」

 私は蹴り飛ばされ痛みに必死に耐える。

 「ミレイっっ。」

 裕介が焦った様子で私に駆け寄り抱きかかえる。

 「なによっ。私より猫なんかを心配するわけっ。」

 美緒が叫ぶ。

 裕介は美緒に向き直る。その時私は精一杯彼女を睨む。

 (あんたなんかに裕介は渡さない。)

 「何か答えなさいよっっ。」

 美緒がヒステリックに叫ぶ。が、裕介は部屋に私を抱きかかえたまま戻り、財布から1万円札を3枚とりだすと玄関に戻り美緒にお金を突き付ける。

 「ミレイが君を傷つけたのは謝る。だがもう帰ってくれ。」

 美緒はお金と裕介を見つめると、札をひったくるように受け取り、

 「また来るから。」

と、言い残して帰って行った。

 裕介はきつく私を抱きしめる。

 (裕介。)

 私が裕介を見ると、彼は泣きそうな表情をしていた。

 「………美香…。君に会いたいよ……。」

こんにちは。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


祐介…テンションの落差が激しいですね…。

次回の予定は真っ白なので投稿はいつになるのやら…。


もし誤字、脱字がありましたらご気軽に言って下さい。

あと、ご感想などをいただけると嬉しいです。

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