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私の願い  作者: 藤塚 圭
3/6

第3話:願い

 私が裕介の家に一緒に住み始めてから、……あれから3年がたった。

 子猫だった私の体も大きくなり、裕介は次第に笑うようになった。私が大好きな太陽の笑顔だ。

 だが、時折ふと誰も見ていない場所で影のある表情をする。そのたびに私は裕介のそばに寄って顔をなすりつけるのだ。私はここにいるよ。そんな顔しないで。という思いを込めて…。

 次第に裕介が笑うようになって、私はふと、寂しさをおぼえるようになった。

 裕介は私の事を忘れてしまうのだろうかと…。そのうち新しい彼女を作り、私の事を過去の事として忘れてしまうのではないのだろうと…。

 それは、とても寂しくて悲しい事だけど裕介が笑ってくれるのなら私はそれに耐えよう。私の願いは裕介が幸せになってくれる事なのだから………。


 この3年で私の周囲はだいぶ変わった。私は慣れないながらも、猫としての生活ができるようになった。さすがに、キャットフードをご飯として出された時は、分ってはいても少し落ち込んだが…。

 裕介も笑うようになったのはもちろん、そのほかに、猫ばかになっていた。親ばかならぬ、猫ばかだ…。

 猫としては異常に賢い私を裕介はとても可愛がった。

 朝起きると私を抱きしめ、

 「おはよ~う。ミレイ。」

と言い、仕事に出るときになると息が苦しくなるほど私を抱きしめ、

 「ミレイ、行ってくるね…。さらわれそうになったらしっかり逃げるんだよ。」

と真面目な顔をして言う…。

 別に、家に鍵がかけてあるからそんな心配しなくてもいいと思うのだが…。

 仕事から帰ってくるとお出迎えをした私を抱きしめ、

 「ただいま~、ミレイ。あ~癒されるな~。」

と、そんな事を言って、夜になると私をしっかりと抱きしめて眠る。そんな毎日だ。

 正直、裕介がこんなに猫ばかになるとは思わなかった…。まあ、抱きしめてくれるのは私としてもとても嬉しいのだが…。


 裕介は弁護士なので、仕事で忙しいときは事務所に泊まり込みになることがある。初めのころは、友人の家に私を預けてたりしていたのだが、

 「ミレイに会えないと辛い。」

と言い、現在は事務所に泊まり込む時は、いや、泊まり込む時以外も私を事務所に連れ込む。同じ弁護士事務所に働いている人達から、

 「猫なんか連れ込むな。」

と、反対されていたが、

 「ミレイを連れ込む事を許可しないと俺は仕事をしないぞ。」

と、裕介が粘り勝ちした。

 裕介は、事務所のなかでもやり手の弁護士のなので、仕事を放棄されると困るのだ。私は、そんな裕介に呆気にとられながらも、一緒にいられる事に嬉しく思った。

 事務所の人達は、私が普通の猫よりも礼儀正しく賢いので、まあ、元人間なのだから当たり前だが…、とても可愛がってくれている。


 そして今日も私は裕介に連れられ、裕介が所属している弁護士事務所にいた。



 「ミレイちゃ~ん。ご飯だよ~。」

 そう言ってご飯をくれるこの人は、相馬凛そうまりん。裕介と同じ事務所に所属している、裕介と同期の女性だ。

 (ありがと~。凛さん。)

 「みゃぁ~。」

 わたしは、凛さんにお礼を言いご飯を食べる。おもに事務所に来た時は、裕介の手が空いていないときは凛さんが私の面倒をみてくれている。

 凛さんは、同期である裕介とも仲が良く、私が死んで落ち込んでいるところを支えてくれた。凛さんには本当に感謝している。

 (ごちそうさま。)

 「みゃぁ~。」

 私はご飯を食べ終わると毛づくろいを始める。これも、初めは抵抗があったがこの3年で何の躊躇もなくできるようになった。

 「ミレイちゃん、今日も残さずきれいに食べたわね~。えらい、えらい。」

 そう言って凛さんは、私の頭をなでる。

 (う~ん。きもちいい~。)

 「みゃぁぁ~。」

と、ゴロゴロとのどを鳴らす私。この3年間ですっかり猫生活が身についた。



 そして、数時間後…。


 バンッ。という扉の音とともに裕介が現れた。裕介の顔には疲労の影が残っており、目の下にはしっかりとクマがある。

 (裕介ー。)

 「みゃー。」

 私はとてとてと、4日間ろくに寝ずに立てこんでいる仕事をこなしている裕介に近寄る。私が裕介に近寄ると裕介はガバッっと、私を抱きしめ、

 「ミレイ~、仕事がひと段落ついたよ~。あぁ~、癒される~。」

と言った。

 (裕介、大丈夫。)

 「みゃぁ~。」

と、心配し私は裕介の顔をペロペロとなめる。

 「ミレイ、心配してくれているのか~。優しいな~。大丈夫だよ、俺は…。」

と言いかけたところで、裕介はふらぁ~と体が傾き倒れていく。

 (うわっ。)

 「みゃっっ。」

 私は倒れる前にするりと裕介の腕から逃れ、一緒に倒れる事を阻止した。

 そして、


 ガンッ。


 すごい音とともに裕介は床に倒れた。

 「裕介君。大丈夫。」

 いきなりの事に驚き、凛さんが裕介に駆け寄る。もちろん私も駆け寄った。

 「…………。寝てる…。」

 裕介は穏やかな寝息をたて、寝ていた。

 「ふふふ。根を詰めていたものね。」

と、凛さんは笑う。

 (そうだね。お疲れ様、裕介。)

 私は裕介の顔に私の顔をスリスリとなすりつける。



 幸せな時間だった。猫になってもなお裕介と一緒にいられ、とても幸せだった。この幸せがずっと続いたらいいのに…。と、私は思っていた…。

申し訳ありません。前回の投稿からだいぶ日にちが開いてしまいました…。

言い訳を言いますと、体調を崩していまして…。現在もまだ体調が悪く治りきっていません…。ですが、次を待っている方もいるようなので、頑張って書かせていただきました。


うぅ、気分悪い…。


ですが、次回も頑張ってこんなに間をあけず投稿するつもりなんで、よろしくお願いします。


書いてて思ったんですが、祐介、キャラが壊れていってる気がする……。

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