第1話:転生した先は…
ドンッ。鈍い音が辺りに響いた。
「キャー。」
あぁ、悲鳴が聞こえる。
私が目をあけると車が走り去って行っていた。
「ひき逃げだ。」
「おい、君大丈夫か。」
「もうこれはだめじゃないか。」
「ちょっと、そんなこと言ったら駄目じゃない。」
(あぁ、私、車に跳ねられたんだ。死んじゃうのかな。)
車に跳ねられたのに私の心はやけに冷静だった。
私の手元を赤い液体が濡らしてゆく。
(私、死んじゃうんだ。この出血では、私は助からないだろう。看護師だった自分がそう思うんだ。間違いない。)
どんどん体から体温が奪われてゆく。
(裕介。)
私の心は婚約者を求めた。
(裕介。ごめんね。私、ダメみたい………。ごめんね。お父さん、お母さん。私の花嫁姿、見せてあげれなくて。ごめんね。ごめんね。みんな。先に死んじゃって、ごめんね、ごめんね……。)
そこで、私の意識はブラックアウトした。
それから私はふわふわとした感覚の中にいた。温かくて、懐かしい。そんなところに。
「ミギャー。ミー。ミー。」
その温かみから抜け出した私はそんな声を出した。
(えっ……。私……………。)
「みかん。赤ちゃんが生まれたのね。よくがんばったわね。」
(えっ…。この声はお母さん。)
私はうっすらとだが目を開いた。そこには、もう会えないだろうと思っていた母の顔があった。
(お母さん……。)
私は母に会えて喜び、ふと違和感に気がついた。
(えっ………………。お母さんが…、でかい……………。どういうこと。ってか、体も思うように動かないし、なんでぇーーーーーーーー。)
「みゃあー。」
私は叫んだはずなのにそんな声は聞こえず、ねこの鳴き声だけが辺りに響いた。
(なんで。)
「みゃあ。」
(なんで)
「みゃあ。」
(私、しゃべっているよね。)
「みゃ、みゃあみゃあ。」
私があれこれ考えていると、母が私を抱きかかえて一言、
「まあ、この子はもうしゃべれるのね。賢い子を産んだわね、みかん。」
(なにぃーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ちょっと待て私。考えろ私。冷静になれ私。えーっと、みかんっていうのは我が家で飼っていた猫で、賢い子を産んだわねっていうことは………………。私、猫に生まれ変わっちゃったってこと。……………。よりによって、自分の家の猫に………。)
私がパニックになっている間に母は感慨深そうに言った。
「あの子が死んでしまってからちょうど1カ月。なんだか、みかんが妊娠してドタバタしていたけど、もう1カ月たったのね。あの子は天国で元気にしているかしら。」
(お母さん……。私、ここにいるよ。元気だよ。)
「みゃぁー。」
どれだけ私が思いを伝えようとしても、もう、言葉は届かない。どうして、私の言葉は届いてくれないのだろう。そう思うと、とても悲しくなった。
「あっという間だったけど、みかんが妊娠したってわかった時、一瞬あの子がここに戻ってきてくれたのかと思ったわ。」
お母さんは私を抱きながら、どこか遠くを見ていた。
(お母さん。私を見て。)
「みゃぁー。」
すると、私の思いが届いたのか母が私を見てくれた。
「眠たいのかな。よしよし、お母さんの所に戻してあげるからねー。」
と、私をみかんのもとへ戻す。
(違うよーーーー。お母さんっっ。なんでそうなるん。)
思わず、心の中でツッコミを入れる私。
私は、猫である間は一生言葉も、思いも届かないのだろうと思った。
そこへ、
ピーンポーン
インターフォンが鳴る。
(誰か来たのかな)
お母さんがバタバタと玄関に向かう。
猫になったせいで、聴力が良くなった私は玄関にいるお母さんの声をはっきりと捉える事ができた。
「あらぁ、久しぶりね裕介君。」
(………えっ、裕介…。)
私の耳に懐かしく、愛しい声が届いた。
「はい、お久しぶりです。お母さん。」
それは、久しぶりに聞く、今は元婚約者である人の声だった。
私は猫を飼ったことがないので、どう書いたらいいのかさっぱりなんです。
猫好きの方で、この先、不愉快になるような事があったら申し訳ありません。
あらかじめ、この場を借りて謝らせていただきます。
この話は、光の扉を更新していく中で、ちまちまとやっていこうと思います。
なので、次話投稿は全く目途がたっておりません。
こんなんですが、お付き合いいただければと思います。