ざまあみろ
ーー未練を無念にできればよかった。
ーー無念に観念できればよかった。
ーーそして、観念して諦念できればよかった。
ーーそうすれば、あたしが生まれ育ったこの国をあたし自身の手によって破滅させることなんてなかっただろうに。
そんなことを心のなかで呟いた。
復讐は一通り完了していた。
まあ、復讐とはいっても誰も殺めてはいない。
それはやりすぎだろう。
あたし1人がこの国の5万人の民を皆殺しにするのはあまりにも命の天秤が釣り合っていない。
命は奪わないであげる代わりに王国の建物すべてを破壊し尽くしてあげた。
田畑も全て枯らしてやった。
川の流れも止めやった。
皆の生活を破壊してやった。
どいつもこいつも泣いていた。
悲しみと絶望の表情をしていた。
ふふふ。ざまあみろって感じだった。
あたしの不幸はお前たちの幸福よりも安くなんかなかったんだよ。
さあ、どうする?
みんな、どうするの?
隣の国に逃げる?
壊れた王国を作り直す?
まあ、好きにしたらいいよ。
あたしはやりたいことはやったから、もう好きにさせてもらうね。
ただ、君たちが何度この国を作り直しても、あたしはいつまでもみんなの幸福を壊しに来るからね。