【3】
「ねぇ...ねぇってば。ちょっと起きてよ。」
(うーん?人の声...?)
「仕方ない...スゥ...起きろーーーー!!!!」
「うわあああああああああああ!?(ドタバタンッ)」
突然の大声に叩き起こされ、椅子から転げ落ちてしまった。
声の発生源を見れば、少女が心配と驚きが混じったような目線をこちらに向けている。
君がビックリさせたからこんな目に遭ってるんだけど...。まぁいいや、それよりもまずは...
「...ねぇ、君。」
「ん?な、なによ。」
これはいい、向こうから近づいて来てくれた。
僕はやられたらやり返さないと気が済まない性格なんだ。
「肩にゴミが付いてるから取ってあげる。後ろを向いて。」
「...え?あ、あらそう?悪いわね。」
さて、準備は整った。あとは盛大な一発をお見舞いするだけだ。
これぞまさしく『目には目を、歯には歯を』というやつ。
それじゃあいってみよう!はーい、腹から息を吸って〜♪
「ぅぅうるさああああああああああああい!!!!」
「ぎゃあああああああああああ!!」
少女は耳を押さえて蹲ってしまった。
まぁこちらも同じ思いをしたんだからお相子ということで。
それにしてもこの少女、他の人達とは違い顔がある。
ようやく話の出来る人に会えたという安心感はあるが...
「あんた何すんのよ!?まだ耳がキーンってなってるんですけど!!」
「やかましい!僕はそれに加えて肉体的なダメージがあったんだからな!」
少女はまだキーキー文句を言っているがとりあえず無視しよう。
現状把握の方がよっぽど大切だ。
カウンターの電光掲示板が「4」に変わっている。
僕が寝ている間にまた誰かがあの扉の先に進んだようだ。
寝てからどれくらいの時間が経ったのか、今何時なのかもわからない。
そういえば時計がどこにも無いんだよな。
さて、そろそろ鬱陶しくなってきたし、相手をしてやるか。
「あたしの話をちゃんと聞いてるの!?」
ごめん、全く聞いてない。
というより無視してたのにずっと話し続けてたのか...側から見れば中々のヤバいやつじゃないか。
「いきなり大声で起こされた挙句、地面に叩きつけられたんだ。これでチャラだろ?」
「あっ...わ、悪かったわよ。」
なんだ、意外と素直なやつだな。
てっきり、ふざけんなって怒り出すかと思ったが。
「それより、君はいつここに来たんだ。僕と同じように整理券を持っているのかい?」
「来たというか、気付いたのはついさっきよ、あなたの隣に座っていたの。ポケットには『99』っていうカードが入っていたわ。これを整理券というのなら、そうなのでしょうね。」
整理券を手渡され数字を見てみたが、確かに「99」と書かれたものだった。
ふむ、僕よりも遅くきた彼女の方が順番が早いのはどうしてだろう。
「あなた以外の人達は顔無しで不気味だったわ。何人かに話しかけたのだけど、なんの反応もないの。」
「僕が来たのは数時間前だけど、君と全く同じだったよ。」
「やっぱりあなたもそうなのね。ここは一体どこなの?」
僕はここに来てから体験したことを彼女に説明した。
時折彼女はカウンターの電光掲示板や周りの人達を見て、不安そうな表情を浮かべていたが、僕の話を最後まで聞いてくれた。
「魂の集会所...ね。確かにあのスピーカーからそんな単語が出てたわね。それと同時に男の子が通路の先に進むのも見たわ。」
とりあえず自己紹介でもしようか。僕の名前は...あれ?」