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第93話 忘却のサプライズ

 あれから感覚的な魔力消費の仕方を、前半と後半で逆転させてみたら、見事に疲労感が減ってしまった。何て事だ、こんな簡単に解決に近づけるなんて……。


 勿論他にも手段はあるだろうし、僕も日夜努力や研究は怠らないけど、こう露骨にステップアップすると驚かざるを得ないよね。


 まず前半はやろうと思う気持ちが強いんだ。だから割と意志の力でどうにかしようとする働きが捗るんだけど、後半になるにつれてこれがどんどん弱くなって。考えと行動がチグハグになってくるんだよね。


 これを助けるのが豊富に残された魔力って訳。魔力が温存されていると気持ちも良い状態でキープ出来る上に、時間的なゴールも見え始めているからかなり気楽に臨める。


 そうなると、多少魔力コントロールの部分でロスが出た所で精神的にダメージが無い以上、とても高水準で状況を維持できると。


 これは目から鱗というかなんというか。


「あ、カミラ。今大丈夫?」

「……いつでも、平気」

「そっか、こないだはありがとね」

「……上手く、変わった」

「でしょ? 自分でも実感あるんだよね。カミラのお陰だからさ、ありがと」

「……問題、ない。あぅぅ……」


 くしゃくしゃと頭を撫でて見ると、ちょっと笑いながらも、不貞腐れた様な何とも言えない表情を見せる。可愛いやつめ。


「なぁカミラ、何かお礼がしたいんだけどさ」

「……お礼?」

「欲しい物とかある?」

「……食べ物」


 だよねー。カミラほんと食べるの好きだからなぁ。でもそれだと何か特別な感じしないしなぁ。


「……あ」

「お? 何か思いついたの?」

「……こないだの、何か」

「こないだの何か? え? 何のこと?」

「……コートの、ポケット」

「!?」


 あーー! 忘れてた! あの日マーベルさんの事で頭がいっぱいで一緒に買ったアクセサリーの事すっかり忘れてた! あれ確かあの時の服のポケットに入れたままになってるな。


 あれ? ……バレてたのか。


「あ、あれね。いや、そうだね」

「……忘れてた?」

「……はい」


 アイタタタ、まさかサプライズのつもりの物を忘れてた事をサプライズされるとは……。というかいつ気づいたんだろ……。


「なんで分かったの?」

「……変な音、なってた」


 音か、そんな事で……。まぁ確かに普段あんまり荷物持たないタイプだから、ポケットとかに物が詰まってると違和感だったのかな?


 にしても気づいちゃうとは。

 サプライズの時はカミラに注意だね。


 要注意だ。

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