第91話 手巻き寿司パーティー
「ただいま帰りました!」
「うわー、凄い良い匂いがしてる!」
「おかえりなさい……あれ? マーベルさん?」
「晩御飯にお呼ばれしちゃいました! プラムちゃんのサンドイッチ最高だったわ、もうね、トロけた」
「ふふ、みんな本当に喜んで食べてたんですよ?」
「わわ、面と向かって褒められると恥ずかしいよ……」
家に帰るとプラムがお出迎え。そしてどこからともなく美味しそうな良い匂いが。手巻き寿司でなんでこんな匂いがするんだろ?
「マーベルさんも一緒に?」
「そうなの、大丈夫かしら?」
「ちょっと作り過ぎちゃったかなって思ってたので凄く嬉しいです!」
「あらそれは嬉しいわね! 是非私も混ぜて頂戴?」
「……みんな飯、最高」
「お、カミラも居たのか……ってそれ」
「……味見は、完璧」
完璧な味見の意味がわからないが、多分美味しいのだろう。グっと突き出された腕とナイスポーズが晩御飯の美味しさを保証してくれている。カミラ審査はシビアだからね。
「うわー、え、これ……」
「あー、成る程、そういう事か」
「えへへ、作り過ぎました!」
照れ笑うプラムが用意してくれたのは、魚系の枠を超えて、焼肉の様な物、豆腐と挽肉のソース和え、小型ハンバーグ、温泉卵、それに豊富なサラダ類にソースまで。そりゃ良い匂いがする訳だ。
「レミリアちゃんが何でも良いって教えてくれたので、合いそうな物いーっぱい用意してみたの!」
「……これが、おススメ」
カミラがとあるソースと肉とサラダのセットを勧めてくれ、プラムはいそいそと酢飯と海苔の用意。
レミリアがテーブルセットをテキパキと用意してくれ、あっという間に食べられるスタンバイが完了。
「あぁ……こんな幸せな日の締めに、まだこんな幸せが待ってるなんて……。あ、お酒……」
「ありません」
「……、ま、今日は休肝日ね!」
我が家にはお酒なんてありませんから。そこはまぁ、少し申し訳なかったかな。飲めない訳じゃないけど、この家族の中にお酒がある必要性が感じられなくて長く飲んでないからなぁ。
「それじゃぁ頂いたきます!」
「「「「頂きます!」」」」
まずはカミラのお勧めのやつを……!?
めちゃくちゃ美味い……なんだこれ……。
「カミラ、これヤバイな」
「……お勧めは、沢山用意してる」
成る程、プラムの料理の味見と共に、組み合わせに困った時にお勧め出来るセットを組み上げてくれているのか。カミラは本当に器用だよな、抜け目がなさ過ぎる。
「私これ食べたいんだけど、お勧めあるかしら?」
「……このソースと、このサラダ」
「ふむふむ……よし! ……おいしーー!!!」
「……超、おススメ」
「なんで? このソースすっごく合うわね!」
みんながみんな凄く楽しそうで。
「あぅぅ……美味しい……」
「レミリアちゃんが緩い顔してる!? 瞼に焼き付けなきゃ!」
それに凄く美味しくて。
「カミラちゃん、いつの間にそんなに組み合わせ考えてくれてたの?」
「……食べれば、分かる」
プラムはそんな光景を見て凄く満足そうで、カミラは常に何かを食べ続けていて。
「カミラ、これは?」
「……コレと、コレ。……ご飯は、少な目で」
「こうかな。……美味いなぁ。めちゃくちゃ美味しいなこれも……」
「……抜かりは、ない」
どれを食べるのか迷い始めた人の隣にスッと自然にいてくれるカミラのお陰で終始みんなが楽しそうなままご飯を食べ尽くした。
結局、殆どなんにも残らなかったよ。みんなで後片付けをして、それで僕はマーベルさんを見送り。
「みんな今日はありがとね! 最高に幸せな一日だったわ!」
「また遊びましょうねマーベルさん!」
「ご飯、用意して待ってます!」
「……いつでも、大丈夫」
それなりに遅い時間になったからね。家の前まで送って行かないと、流石に少し心配だからさ。そうは言っても遠い訳でもなし、少し歩けばあっという間に到着。
「今日は誘ってくれてありがとね。本当に良い一日だったわ」
「そう言ってもらえると何よりですよ」
「さーて、今日はたっくさん遊んで食べたから。明日また寄らせて貰うわね! おやすみなさい!」
「それはそれは、ではまた明日」
そうやってまた明日へと繋がっていく。
本当、一日一日が濃くなったなぁ。