第87話 お出かけwithマーベル
「マーベルさーん!」
「れれれれレミリアちゃんそそそそその服は!?」
「はい、この間頂いた服です! ……似合ってますか?」
「て、天使よ……天使が舞い降りたのよ。何て最高な日なの、このまま昇天しても悔いはない……いやあるわね。今日のデートを遂げずして昇天してる場合じゃないわ!」
「デートじゃありませんから」
「あらいたの?」
「えぇ……」
件の休診日。僕はレミリアを連れて集合場所である医院の前まで来ていた。一応十五分前に来たんだけど、明らかにそれよりも前から待っていたであろうマーベルさんがそこにスタンバッていた。
何時からいたんだろう。
「今日はどこにいくのかしら?」
「えっと、私の希望で申し訳ないのですが、少し植物園を回りたいんです」
「この間の植木鉢の件ね。あれは上手くいった?」
ノースリーブにカバンを肩からクロスに下げるマーベルさんは身長こそかなり低いのだが、バストが凄いので色々と主張が凄い。動き易い様になのかパンツで来てくれているのだが、何というか迫力が……。
おっと、何考えてんだか。
「はい! ちゃんと植えさせて貰いました! 土が凄くいい感じなので立派に育つ気がします!」
「あの土は最高級よ! なんたってハルくんに頼んでるらかね!」
「そのハルさんに感謝ですね!」
「必要だったら教えてくれたら、彼なら幾らでも出してくれるわよ? 一日で家も建っちゃうんだから」
「えぇ……流石Xクラスは桁違いですね」
「そうねぇ、あの子の周りはかなり手練れ揃いだからうちとしても有り難い存在なの。何より良い子だから土くらいついでにポンポン出してくれるのよね! 遠慮なく言ってねレミリアちゃん!」
「ではその時は是非またお願いします!」
マーベルさんはこの街のギルドの受付嬢をしているので人脈が本当に厚い。それに人柄もあるんだろうなぁ。
「さーて、まずは植物園ね! 質問しにいくのかしら?」
「そうなのです! 立派に育ててあげたいのでお話を聞きたいのと、必要になったら植え替える先を考えたりとか、色々です!」
「色々ね! 最高に可愛い!」
時々会話がおかしい気もするが、二人とも凄く楽しそうなので特に何を挟む必要もない。たまに気になったら僕も混ざればいいけど、別に必要なければこの位置でいいからね。
だって。
レミリアもマーベルさんも凄く良い笑顔で話してるからさ、見てるだけで充分満足なんだよね。
誘って良かったな、マーベルさん。