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第81話 実力者の眼

 さて、相対するは大先輩のライバックさん。

 どこまで誤魔化せるか……。


「ちょっと従業員の病気で困った事になりまして、知恵を借りられたらと連絡を入れさせて頂きました。でも何とか解決出来ましたので」

「……ほぅ、それはひとまず良かった。何もないに越した事はない」

「で、ですね」


 ライバックさん凄くニヤニヤしてる……。

 ま、まさか。


「しかし俺っちに隠し事とは。お前もやるようになったものだな、ナビリスよ?」


 うっ……バレてる。

 さて、これはどうしようか。


「……察するに、店の狼の獣人、彼女が病に。そしてそれを治療院ではなく俺っちを頼る辺り、彼女との共通点から森族の何かと考えられる。そしてあの子の年齢と前回の違和感を総合すると」

「……」

「獣人特有の成人病か」

「……はい」


 やっぱり隠せないか。この人かなりやり手で実力もある上に頭もキレて、年齢も確か倍以上違った筈。相対すとこうも厳しいか、うーん困ったな。


「薬が手に入ったのか? ありゃ確かバカ高かったはずだが」

「えっとですね……」

「それとも、ナビリスの魔力の変化がその答えなのか?」

「えっ!?」


 アチャー、完全にバレてる……。

 流石だなぁ。


「手、握れよ」

「……はい」


 促されるままにライバックさんの手を握る。


「成る程、かなり質が変わってる。これは……腹痛に纏わる力のコントロールを覚えた? いや、他の作用もあるな。……体内環境のコントロールに近い能力か」


 ……ご名答。ヤバイ、かなり本質に近い所まで言い当てられてる。でもこれ以上は、僕も晒す訳にはいかない。


「ですね、この力で今回の件もなんとかなったのですが、何せかなり特異魔法(マルチスキル)らしい風貌になってしまったので、出来れば……」

「そりゃそうだ。こんなの世間に出たら良いように利用されて暗殺されるのがオチだな」


 えぇ……暗殺? そうか、過度な回復能力はバランスを壊すから危険因子と見なされて……。確かにあり得るよね。


「この件は俺っちの独断で心に秘めておく事とする。だからまぁ……無事に乗り切れたならそれで良かったよ」

「……ありがとうございます」

「さて、それじゃ用が済んだなら……」

「あ、あと一つだけ」

「ん、どうしたんだ?」

「レミリアのお姉さんが奴隷として何処かで使役されていると思います。もし何か情報があれば」

「狼の獣人か、そんなに数は多く無いはずだ。見かけたら一報入れる様するか」

「本当に、感謝します」

「ま、たまに俺っちの頼みも聞いて貰うさ。ナビリスの秘密に触れない程度にな。さて、トイレ借りてくぜ? 相変わらず俺っちの耐性が全然仕事しねーのな」

「……是非スイートルームを」


 やはり実力者を頼るのは心強い反面、かなりのリスクを伴うみたいだ。初めて頼ったのがライバックさんで本当に良かった。


 成る程、実力者目線だとそう見えるのか。今回の一件はかなり良い勉強になった。有り難い限りだ。


 これは、一層注意が必要だね。

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