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第8話 看板娘

「レミリアちゃーん! 今日も会いにきたわよ!」

「あー! マーベルさんこんばんわ! お勤めご苦労様です!」

「可愛すぎる……今日も癒されるわね。はぁ最近知ったばかりなのに通い詰めちゃってる。レミリアちゃんに会いたくて」

「うふふ、ここに来てくださればいつでも私に会えますよ!」

「くっそー! 明日も来ちゃいそう……ちゃんとご飯食べなきゃ」

「本当は三日に一回とかで十分なんですけどね!」

「三日も会えないなんて無理よ!?」


 薄い壁でしか遮られていないので待合室の会話は基本的に筒抜け。最近こういう会話が凄く増えた気がする。恐るべしレミリア。


「では診察室へどうぞ!」

「はーい、せんせー早くお手て触ってー」

「えぇぇ……もうすっかり慣れてしまいましたね」

「そりゃあ最初こそ詐欺かと思ったけど……こう効果があるとねぇ。職場の人達にも宣伝してるんだから」

「それは有り難い。なかなか広告もし辛い内容ですからね」

「そうよねぇ。あ、いつまで握ってるんですか?」

「おっと失礼。それではお大事に」

「お疲れ様でしたー!」


 段々と常連客も増えてきて、従業員が増えたというのに忙しさは増すばかり。具体的にはレミリアと僕のどちらの手が空いた瞬間に備品の補充に走っている状況。


 人手を増やせば……とは考えなくもないが、今はこうしてレミリアとあくせく働くのが楽しいという側面もあるから……うん。まだ少し早いかなと考えたりしている感じかな。


「ふぅ、今日もお疲れ様です」

「お疲れ様。お客さん、増えてるよね」

「ですね! もっともっと頑張ります!」


 本当にこの子は……。ここまで頑張られると少し申し分なくなってくるよね。うーん。今日は少し美味しいものでも食べて帰ろうかな。


「なぁレミリア、ちょっと疲れてない?」

「確かに今日は少し疲れましたね、でも大丈夫ですよ!」

「何か食べたい物とか……ある?」

「食べたい物?」

「頑張ってくれてるご褒美にさ」

「ご褒美!?」


 さっきまで疲れた顔をしていたのに、耳をピーンと立てて、尻尾がお尻でフサフサ揺れている。本当に分かりやすい子だなぁ。


「えっと……それは……」

「何でも言っていいよ? こう言っちゃなんだけど、レミリアのお陰で儲かってるからね」

「あぅぅ……そんなお言葉勿体ない」

「いやいや事実だから。食べたい物、何かない?」

「えっと……」


 少しモジモジとしながらも尻尾はフサフサと揺れていて、上目遣いでこちらを見てくるレミリアは反則級に可愛いい。これはリピーターも増える訳だよね。


「パンを……買ってみたくて」

「パン?」

「はい、以前から気になってはいたのですが……身分上、それも夢の様な話で……」

「パン……ね、よし。じゃあ今日の晩御飯はパン祭りにしようか!」

「良いんですか!?」


 その反応だけでも十分価値があるからね。今日の帰りは少しだけ寄り道をして、パンを買って帰ろうか!

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