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第77話 確認

 全員が寝静まったのを確認し、静かに家を出て店を目指す。それ程遠い訳では無いのでこういう場面では非常に助かる環境と言える。


 これから行う確認作業は誰にも見られる訳にはいかない、けれど自身は正しく認識しておく必要のある大切な行い。


 今後もし、家族に何かあった時にもうアタフタしなくて済むように。誰の笑顔が失われる事の無いように。僕は今までの甘さとは決別し、前に進まなければならない。僕が先頭を歩くからこそ、後ろにみんながついて歩けるのだから。


 その道の安全は、僕が保証しないとね。


 扉を開けて、お店に入る。いつも見慣れた光景とは言え夜中だと少し不思議な気分になるな。それに音も殆どしない。誰もいないってだけで、まるで違う場所にいるかの様な不安感に襲われる。


 いつもはみんながいるからね。だからこその今日なんだ。こういう日は、必ず取る必要があると考えていた。


「さて、入り口は閉めたし、裏口も、それに気配も何も感じない。……始めるか」


 念の為自身の不備が無いかを口に出して確認する。よし、始めても大丈夫そうだ。


 僕は指先に魔力を集中した。そしてそれを毒に変換する。そこから種類を麻痺、睡眠、幻覚、昏倒、痛み、破壊と変換していく。


 やはり……かなり練磨されている。元々魔力は扱っていたけど、どうやら毎日お店でお客様を治療する事が修行になっていた様で、魔力の総量と特異魔法(マルチスキル)の扱いが桁違いに向上している。


 だから……【毒帝(ポイズンマスター)】にも目覚める事が出来たのか。不思議に思ってたんだ。意味もなく意識だけでクラスアップする様な単純な力では無いはずだから。


 でも、どうも裏付けがあった様だ。それは僕自身の能力向上。そしてその経験値は特異魔法(マルチスキル)によってのみ得ており、本来はあり得ない回数をあり得ない期間継続していたと。


 店の形態が功を奏した形になった訳だ。これは考えてもみなかった副産物。けれど無ければレミリアを……。だからこそ、もう二度とこんな事にならない様に、僕は自身を正しく知る必要がある。


 細かい事は特異魔法(マルチスキル)が直接僕に教えてくれる。僕は問い掛け、そして試し、確認すればいい。


 範囲、遠隔造作、規模や総量、連続稼働時間、便意促進ではなく健康促進へスタイルを移行した場合の魔力の消耗。


 いくらお客様の為とはいえ、万が一の時に魔力が無くて動けないとあっては話にならない。だからといって極端に控えては修行にもならない。そう、営業とは言わば僕にとっての修行だ。なら、可能な限り攻めるべきだろう。


 つまり、正しく認識する必要がある、という訳だ。


 自身の身体を魔力スキャン。直立した状態で頭の先から足の先にかけて体内の毒素の存在を探る。僅かに腸内環境が乱れているが……気にする程ではないだろう。


 これをもっと正確に。さらに言えば深く、そして先の未来の毒の状況まで予想出来る様になったのなら、この力は更に盤石となるだろう。


 僕はまだまだなんだ。甘えてなんていられない。僕が守りたいのは……本当に大切な人たちだから。


毒帝(ポイズンマスター)】、これからもよろしく頼むよ、相棒。

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