第62話 それぞれに出来る事
「レミリア! 大丈夫か!?」
「ご、ご主人さ、ごほごほっ」
「ごめん、無理しなくていいから。大丈夫……じゃないよな」
「申し訳ありません……私、役に……」
「それは良いから! 今、何とか良くなるように手段を探してるから! それまで……頑張ってくれ!」
「ご主人様……ごほごほっ、ごほごほごほっ」
「レミリアちゃん!? 無理しちゃダメよ? ほら、お水飲みましょうね……他に何か欲しいものない?」
マーベルさんも駆け付けてくれ、属性魔法による治療も既に行われている。一時的に病状が緩和したとしても、身体の内側からオートに排出される種族毒が次第に身体を蝕んでいく。
顔色が……どんどん悪くなっていくばかりだ。
「レミリア、また後で必ず来るから」
「ご主人様……申し訳……ありません」
「カミラ、少し良いか?」
「……了解、何?」
レミリアのいる病室からカミラを連れて二人で退出する。プラムもしっかりしてきてくれているが、やはりこう言う場面で落ち着いて物が見れるのはカミラの方だ。何かを頼むなら……彼女が適任だろう。
「僕はこれからこの街の国軍に連絡を取って昔の知人を当たってみる。僕の知識や現状だと、後は……クラリスさんくらいか。兎に角暫くここを留守にする、二人も居てくれるみたいだけど……レミリアを頼む」
「……任せて、他に何かは?」
「治療は金の限り何度でも頼むと先生に。適切なタイミングは先生の方が専門だ、予算はこれだけ」
「……分かった、任せて」
「あぁ、そっちもよろしくな」
この場でやれる事は限られている。それはここにいるメンバーに預けて、僕は僕の出来る事をしよう。まずは軍だ。
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軍に顔を出して来たが、やはりライバックさんはここにはいなかった。エルフの彼は奴隷の街をあまり好んでいなかったから、特定の知人に会う以外では基本的に立ち寄ったりしない。
元軍人という立場からライバックさんに連絡をいれたけれど……間に合ってくれるかな。あの人、魔界への遠征に組み込まれる事もある程の実力者だからな……もしかしたら難しいかもしれない。
レミリアの件があって店も放置しっぱなしだ。せめて臨時休業の看板を出しに行こう。
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店の前につくと、そこには既に本日休業の看板が。いつか……レミリアと二人で過ごした日に作った看板だ。店への出入りが可能でこれの存在を知っているとなると……カミラか。あいつ本当に抜かりないな。心底助けられているよ、こう言う時ほど実感する。
……ん?
入り口の下に手紙が……? クラリスさんからだ。何かあったのなら連絡を、と書いてある。その場所も。……涙が出て来そうになるのをグッと堪えて、紙に書かれている場所を目指す。
そうさ、まだ立ち止まってる暇なんてないんだから。