第48話 護衛代行
「いらっしゃいませ、順番にお待ちいただければ順次お声かけさせて頂きます!」
「やっほーレミリアちゃん! あとカミラちゃんもいるね、元気してた?」
「ニーナさん! こんにちわ!」
「……いつも、元気」
「うんうん、良い事だね。僕も待たせて貰うけど良いかな?」
「勿論です!」
入り口から聞こえる会話から、今日はニーナさんが来ている事が判明。あの人はそこそこやり手の冒険者で、チームメイトにはとんでもないレベルのレンジャーが付いているとかいないとか。マーベルさん曰く、界隈では少し有名な小隊なのだそうだ。
「え、今日はおやすみ……なの?」
「……サリファ、不在」
「どうしよう……買いたい物あったんだけどな」
何か問題でもあったのかな? どうもカミラとプラムが話し込んでいるような……?
「どうしたんだい?」
「に、ニーナさん……こんにちわ」
「やっほー僕だよー、こんにちわ!」
「……買い物、護衛不在」
「あー成る程、それは困るね。なら僕がいこうか?」
「えっ!?」
「どうせ順番待ちだからね、その分帰ってきたら最初に通してよ?」
「えっと……」
「よろしくー!」
「だ、大丈夫みたいです。い、いいんですか?」
「良いよ! ジッとしてるの性に合わないんだ、ほら早く行こうよ!」
「あ、い、行ってきます」
「……買い物、よろしく」
「よろしくお願いします、ニーナさん!」
「はーい、行ってくるねー」
護衛が不在で買い物か、確かにまだプラム一人はちょっと難しい、というか不安かな。今日のは突発的な不在の上に、元々ボランティアみたいなものだから何も言えないしね。
ニーナさんがいてくれて良かった。
______
「ただいまー、割とすぐだったね!」
「あ、ありがとうございます」
「いいのいいの、それより診察行って大丈夫?」
「丁度空いた所です、お次どうぞ!」
「はーい」
いつもの声でニーナさんが扉を開ける、相変わらずなボンキュッボンといったシルエット。流石冒険者というべきか、スタイルが素晴らしい方だ。
因みに髪は赤毛で短髪。
「やっほーおつかれー」
「先程はありがとうございました。従業員を助けて頂いた様で」
「いいのいいの、私にとっては順番待つより有意義な時間だったよ? プラムちゃんも良い子だね!」
「ありがとうございます、プラムも自慢の従業員ですよ?」
「いやーちょっと今さ、西の森が荒れててウチが呼ばれるかもしれないんだよね。そうなると多分暫く来れないか顔を出しておこうかなって!」
「西で?」
「何か魔物に大量発生の兆しとかなんとか。本当に大量発生ならどうするつもりなんだろ?」
「えぇ……冒険者は大変ですね」
「まぁね、うちは危機回避が得意だからまだマシだけど、やっぱり危ないからねぇ」
「あまり無理はなさらない様に、せめて余計な荷物はここで置いて行ってくださいね?」
「ふふ、僕もそのつもりで来たんだよ?」
ニッコリ笑って握手して、退室。戦闘準備に……うちか。そんな方面の利用も……いや、ないな。あっても少ないだろう。
うーん、良い案がなかなか出ないなぁ。
もう少し、何かないものか。