表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/190

第29話 二人のポリシー

「よーし、カミラのお陰でもう片付けが殆ど済んでるからさ。二人ともちょっと話をしようか」

「え? 話……ですか?」

「……何?」


 僕は……完全に失念していた。レミリアは奴隷で、従業員で、家族。だからカミラという外部の人が店にやってきてくれるまで、完全に考えから抜けていた事がある。


 ……給料だ。


「カミラ、今日はありがと」

「……問題ない」

「これで恩返しは完了、それでいいね?」

「……貴方がそれで良いと言うなら」

「ん、なら恩返しはここまでだ」

「……うん」


 まるでお前は去れと言わんばかりの僕の発言に、少し寂しそうな顔をするカミラ。あー言う順番間違えたかな。


「それでもしだけどさ。カミラさえ良ければ……このままここで働かないか?」

「……え?」

「カミラみたいに働ける人、前から雇いたいと思ってたんだ。何ならその友人も連れてきて構わない。どうかな?」

「……私、孤児」

「だから?」

「……大丈夫?」

「関係ないでしょ? 家は……ちょっと手狭になるけどウチに来ればいいし。布団買わなきゃだけどね」

「……もし」

「うん」

「……良いなら、働きたい」

「よし、決まりだ」

「やった! これからよろしくお願いします、カミラちゃん! 楽しくなりますね!」

「……よろしく」


 カミラはかなり遠慮がちな態度だったが、現時点で既に役割のある仕事が出来るんだから何の問題もない。


 むしろ問題なのは……僕だ。


「さて、レミリア」

「え? あ、はい」

「話がある」

「……な、何でしょうか?」


 あれ? 何かちょっと震えてるような……? うーん、また話す順番間違えたかな……。ダメだなぁ。


「レミリアには本当に世話になっている」

「は、はい」

「そこでだ」

「……何でしょうか?」

「給料を渡そうと思う」

「……え? えっと……え?」

「お給料、お金」

「……何故ですか?」

「何故って……働いてくれてるからでしょ?」

「でも私はご主人様の奴隷です」

「でも従業員でしょ?」

「その前に奴隷です、なのでお気になさらないで下さい」

「でもカミラを雇うなら給料が発生するし……」

「……宿代、あとご飯代」

「え?」

「……それで十分」

「……いやいや二人ともね、ほら」

「必要ありません」

「……必要ない、美味しいご飯、優先」


 ……うーん、困ったなぁ。二人とも頑なに受け取ろうとしてくれない。やっぱり奴隷に給料っておかしいのかな? それならせめて……美味しいご飯を用意するくらいしか?


 何か違うんだけどなぁ、二人がそう言うなら……仕方ないか。


 ……せめてたまには外食とかにも連れて行こうかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ