第22話 マーベルさんとお疲れ会
「いらっしゃいませ、順番にお待ちいただければ順次お声かけさせて頂きます! ……あ! マーベルさんこんばんわ!」
「おつかれーレミリアちゃーん、あぁレミリアちゃん、よしよし良い子良い子……」
「あぅぅ……まだ仕事中ですよ?」
「もー固い事言わないの! ちょっと撫でるくらい……あぁ……可愛い……ヤバイ可愛い」
「うぅぅ……マーベルさん……」
「ハッ、そうね! 順番に並ばせて貰うわ」
「ふふ、いつもありがとうございます、でも仕事中はダメですよ?」
「……!? し、仕事終わりなら……?」
「え? 仕事終わりなら……良いのかな?」
「うっそ!? 待っちゃう! 明日休みだから待っちゃうけど良いの!?」
「……多分?」
「問題ないよー」
「……大丈夫みたいです」
「ぃよっしゃー!! ちょっと今のうちに買い物行ってくる!」
「えぇ……ちょっと、マーベルさん!?」
受け付けの方からそんな会話が聞こえてきたので声をかけたのだけれど、それによってマーベルさんが居なくなってしまった。
何というか、可愛い見た目に反して結構パワフルな人だよね、マーベルさん。確か年齢は僕より少し下くらいだったかな? 殆ど同い年くらいだった気がするけど。
まぁ居なくなっちゃったものは仕方ないよね、目の前のお客様に集中しないと。……何買いに行ったんだろ?
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「ふぅ、今日も終わりましたね」
「お疲れ様、レミリア」
「ご主人様もお疲れ様です!」
「そう言えばさ、確かマーベルさんが何か……」
僕がそこまで言った所で入り口から誰かが入ってくる気配が。まぁ誰かというか、マーベルさんだよね。
「お疲れー! 見て見て、酒とツマミ買ってきた!」
「えぇ……マーベルさん、レミリアに酒飲ませるの?」
「そんな訳ないでしょ? はい、レミリアちゃんにはミルク!」
「良いんですか!?」
「良いのよー! あぁ……その顔が見たくて見たくて……買ってきて良かった」
「で、そっちの袋は?」
「あぁ、こっちはツマミとパンと後今日はクッキー貰ったからそれも持ってきたわよ!」
「クッキー!?」
「あら? レミリアちゃんクッキー好きなの? ギルドに出入りする冒険者に変わったコがいてね、時々差し入れって置いていくのよ。これがまた美味しくてねぇ……手作りだそうよ」
「これですか? ……うわぁ! これ手作りなんですか!?」
「みたいね、変な男の子なの」
「変わった方なんですね!」
「疲れてる時に限ってこういうのくれるから凄く有り難くてね、結構ストレスワークなのよ?」
「まぁ……僕も見たことありますけど、ギルドって曲者揃いなイメージですよね」
「本当にねぇ……あぁレミリアちゃん! 私を癒して!」
「むぐぅ、ま、マーベルさん……く、苦しいでしゅ……」
マーベルさんがレミリアを抱きしめてスリスリしてるけど、まぁ気持ちは分かるから少しくらいはね。あんな献身的で心の綺麗な子もなかなかいないから……やっぱり癒されるよね。癒しって大切だと思う。