第20話 ルーム紹介
トップ10が目前まで来ている……。
これも読者の皆様のブックマークや評価のお陰です、いつも本当にありがとうございます。
「今日はちょっとお手洗いを順番にチェックしていくからさ、悪いけどレミリアも備品取ってきたり頼める?」
「勿論です! ついでにお掃除用のタオル取ってきます!」
「ん、よろしくね」
今日は少しだけ早い目に店仕舞いして店内のメンテナンスをする日。まずは掃除からだけど、メインで着手しなければならないのは専らこのルーム達。
「さて、取り敢えず……セルフルームからかな」
「拭き掃除したら終わりですね!」
「ま、そうだよね」
このセルフルーム、要は一番安いコースで設定しているルームなのだけれど、内容はと言えば本当に何もない。そう、比喩じゃない、出口直結なんだ。一回分のティッシュを持ち帰り用として受付で渡して、手洗い場だけがついている通路を抜けて、そのまま家に帰って自宅で、という訳だ。
やはりサービスをするなら料金が発生してしまうので、ここでもしほぼ何もしないなら僕は握手して帰ってもらっているだけみたいなもの。なら料金は最低ラインまで落としたとしても店へのダメージなどない、寧ろそれでも小さくプラスになっているくらいだ。
でも……やっぱ家計的に無理出来ない利用者もいると思うから、そこは自身の裁量でサービスを受ける必要が無いと判断した時はセルフルームで良いんじゃないかなと考えている。
セルフルームという名の通路だね、コレ。でも入り口と分けているからさ、客入りと診察帰りで混雑しない様に対策されてるんだよね。入り口と出口は別に設けているって訳。
「次はノーマルルーム、軽く掃除しておこうか」
「はい! 補充は……手洗い用の薬材とペーパーだけ補充しておきます!」
ノーマルルーム、なんて大層な名前がついているけど、ここが所謂普通のトイレ。家に帰ってするのが恥ずかしかったり、スッキリ気分を切り替えて帰りたい人は利用してから帰って貰うと。
因みに出口はついている訳じゃないけど、スイート・ノーマルの両ルーム利用者専用出口が別に取り付けてあるから帰りはそちらから。値段設定もここは普通にしている、開店初期から変わらない金額。だからセルフルームが寧ろ割安になっている、といった料金体系なんだ。
これだと売り上げが少なくなって商売にならない様に見えるでしょ? でも大丈夫なんだよね、ちょっと意外かな? まぁここまで利用者のニーズに合わせてやれたのは全部レミリアのお陰なんだけどさ。そもそも、このルーム別制度を始めてから利用者の数が目に見えて増えたんだよね、割安にした事なんて全然気にならないくらいにさ。
そして利益もバッチリ上がっている。
理由は簡単、この三つ目の存在であるスイートルーム。この利用者が全体の大半を占めているからだ。