第187話
まず僕はミールを回収した後に、西へと向かったキメラを討伐すべく動き始めた所から話始めた。
「今回のさ、キメラはどんなだったの?」
「前回の奴よりもかなり触手の様な、複数の攻撃手段をもつ気味の悪い見た目をしてましたね」
「え、全然違ったの?」
「多分、吸収した物の差なんですかね」
「あーそっか、森の中でも暴れてたって言ってたもんね」
「その……ナビリス様は戦闘も熟されるのですか?」
「まぁ……程々に」
「程々な訳ないじゃーん、私らが小隊でやっと倒した奴より厄介な能力を持ったキメラでしょ?」
「ま、まぁ確かに……」
「単独撃破ならXクラスは超えてるよね、確実に」
「えぇ……、そんな事ない……筈」
Gから始まりAに上がるに連れて強者と認められる能力ランク。そのAより上がXとXXとXXXだけ。
ガンディス様がXXで、剣神と呼ばれるソルダード様が王国軍唯一のXXX。
ギルドにも実力者はいるだろうけど、そっちは余り関わりが無かったから詳しくは分からない。
Xクラス以上は僕の中じゃ異次元の世界だったんだけど、僕もそこに含まれる? ……まさかね。
「頼もしい限りですわ」
「いや、でもちょっとこの力はあまりひけらかす訳にはいかなくてですね、出来れば戦いたくないんで……」
「……成る程、段々と分かってきましたわ。ナビリス様の特異魔法は何らかの理由でかなり強力なレベルに変化したか、或いは成長なされたのですね」
「……はい」
「そしてそれは……、体調を癒し、敵は滅ぼす様な……そんな力だと」
「……はい」
えぇ……、あ、そうか。僕が普通の手段でキメラを倒してたら秘密にする理由がないもんね。特殊な手段で倒してて、隠す必要があるのなら……そりゃ特異魔法って察しがついちゃうか。
……マズイなぁ。
「……それかなりヤバイよね、院長さん元々軍だとどれくらいだったの?」
「Dクラスですね」
「嘘でしょ!? それが特異魔法を含むとXクラス? どんな能力なのそれ」
「いや、特異魔法のみというより、僕はそもそも魔力の量だけならかなりの物になってましてですね」
「……成る程ね。元々力はあったんだ。それを行使する手段を得た事で……歯車が噛み合っちゃった訳か」
「そうなんですよね……」
「何で秘密にするの?」
「多分……周りに危害を及ぼされてでも確保されるレベルの能力なので、知られるとマズイんです」
「……怖っ!!」
ニーナさん素直だけど直球過ぎて悲しいな……。
でもなんかフワッとしか認識してなかったけど、確かにこの力をフルに使っても大丈夫なら……結構良い線いくのかもしれないね。
Xクラスか、まさか僕が……ねぇ。